お素晴らしいお物語ですわ! と言いかけて……

 最後の最後にしかけられた罠は絶妙の一言。どんな罠なのかは読んでのお楽しみ。

 そんな文章を冒頭に持ってきたくなるほど巧妙な展開巧者である。たとえば、いかにも無味乾燥な✕✕が伏線になっている。

 主人公のベタで大時代な台詞回し(※誉めている)が作品の背骨とズバリ一致し、秀抜な文章と相まって本作の作者にしか書けない、かつ多くの読者をひきつけてやまない舞台を作り上げている。

 極めつけは、主人公と彼の性格が真反対なようでいて物語の進行とともに互いに影響を与え合っていくことだ。

 必読本作。

 

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