あの時食べたラーメンみたいなささいなことが、実は、大切な記憶を繋いでる

愛だの恋だのの、世の中にありふれたものの始まりは、本当のところはフィクションでよく見るような劇的なものでは全くなくて、偶発的で、ささいで、だから、そこから始まるふたりの世界も、端から見れば月並みで、ありふれている日常だ。

若者が華やかな未来を追うことも。
それが叶わないことも。
やっぱり、ありふれた現実だ。

でも、そこがいい。
ありふれていることの尊さが、いい。
いいからこそ、この物語の結末の寂しさは、胸を打つ。

中央特快に“間違えて”乗ってしまった「わたし」の心象のほんとうのありかを、探りながら読んでほしい。

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