世界統一を果たした転生者の新王が、宮廷画家に無理難題を望むその理由とは

 新王がムサシノ出身……!?

 トウキョウ、サイタマと何やら馴染みのある地名に言及はされるものの、この物語では、その地のことはほとんど具体的には語られません。ただ、世界統一を果たしたばかりだという新王が、自らの故郷として、宮廷画家に語るのみです。

 彼は、画家に曖昧な言葉のみで己が故郷を語り、それだけで、絵を描け、さもなくば敗残の将達の処分も危ういとそう脅しとも取れる要求を突きつけます。

 難題を突きつけられた画家のアルフレッドは、それでもその課題に真摯に向き合いますが、用意に描けるわけもなく。やがて、期日の十日後、疲弊しきった彼の前に現れた王が語ったその真意とは——。

 4000字未満という字数とは思えないほど様々な心の動きが繊細に描かれ、かつ、転生者というギミックをとても巧みに使って「武蔵野」が見事に昇華されていました。

 まさに武蔵野ライトノベル……!
 おすすめです!

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