舞台演劇「ムサシノ」

「ムサシノ」を描け。
新しい支配者が、旧国の宮廷画家に命じたのは、見たことも聞いたこともない町。
描けなければ、敗将となった友人らの処遇も危うい。プレッシャーのかかる中で宮廷画家は必死に「ムサシノ」を描こうとするが……。

登場人物は、わずかに3人。
新しい支配者から「屏風の虎を追い出せ」じみた無理難題に、宮廷画家が苦悩の末に出す答えは、実に人間味があって体温を感じた。

結末となる、新しい支配者のイジワルとも悪戯とも受け取れるオチは、もう一つ踏みこんで、宮廷画家と読者をあっと言わせる「ムサシノ」を欲張りたいところ。

ともあれ、ルビンの壺。支配者が見たかったのは、もはや望郷の念ではなかった、「ムサシノ」。良かったと思います。受賞おめでとうございました。

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