第12話 幕府が無くなったけどどうするの?

慧仁親王 大阪城 1522年


大阪城と言っても、今の大阪城とは比べ物にならない。

砦に毛が生えた様なものだ。

3日前、高国の兵3000を引き連れ大阪城に入った。

そして大阪城に三好元長を呼び出した。


「三好元長にございます。 本日の謁見、有難き幸せに存じます」

「うぬ、慧仁だ、よく来た」

「はっ」

「驚いたか? 俺を見て驚いたか?」


元長が俺を見て、あからさまに引いて居た。


「噂には聞き及んでいましたが、失礼を承知で言わせて頂ければ……驚きました」


許しを得たかの様に、俺を舐め回す様に見る。 俺が引くわ。


「まあ良い。今日来て貰ったのは他でもない。 和泉・河内・淡路を天領にしようと思ってな」

「和泉をですか?」

「ああ、堺が在るからな。 まあ、堺は身を弁えて無いので懲らしめるがな」

「……」

「先に言っておく。 細川には先は無いぞ。 足利・細川・山名・畠山・斯波には、この長く続く戦乱の責任を取って貰う」

「天皇家は太政大臣様の後ろ盾になったのではないのですか?」

「細川の後ろ盾になった訳じゃない、高国の後ろ盾になっただけだ。 高国が死んだらそれまでだ」

「なるほど」

「之長の件は水に流せぬか?」

「こればかりは殿下のお言葉でも、首を縦に振る事は出来かねます」

「うぬ、これだけは言っておく。 高国に何か仕掛ければ朝敵と見做す」

「はっ、肝に命じます」


思ったより高国は従順で、政に対して優秀だからね。 殺されたらこっちは困る。


「で、幕府が無くなってどうだ? 代わって天下でも統一するか? 終わりの見えない戦いを続けるか?」

「……。 それがし、その事ばかり考えています」

「天下安寧の手伝いをしては貰えぬか?」

「天下安寧の手伝いですか?」

「そうだ。和泉の代わりと言っては何だが、四国を統一して欲しい」

「四国をですか?」

「うぬ、四国統一を綸旨とし、錦の御旗を下賜する。 統一後の所領安堵。 と言っても、一国と残り三国の国守の任命権だ。どうだ?」

「明日まで時間を頂きとう御座います」

「うぬ、明日のこの時間まで待つ。 家内を纏めろ」

「はっ」

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