第3話 テンプレ通りに欲しいもの二つ
慧仁 京 御所 1521年 師走
「次はお爺さまへの願い事になります」
「ほう、願い事となぁ」
「ふふふふふ、赤子の欲しがるものでございます。お爺様なら容易い事と存じます。」
「私は見ての通りの赤子にございます。不便でなりません。是非、私の手となり足となる、目となり耳となる家臣が欲しゅうございます。」
「うぬ」
「是非、静原の民、八瀬の民を私に下賜下さいますようお願い申し上げます。」
『『静原の民?』』
お爺様とおもう様は顔を見合わせて不思議そうな顔をしている。
あちゃ~、静原冠者は架空の一族だったのか!俺はワクワクしながら天皇家の忍者を読んだんだぞ!南原先生、勘弁して下さい。
「八瀬童子は分かるが、何故、静原なんじゃ。八瀬とくれば大原冠者でなくて良いのか?志能備(しのび)が欲しいのじゃろ?」
おお~!南原先生、惜しい、惜しすぎるよ。静原じゃなくて大原だってよ。道一本分、6kmずれてるよ。
「コホンッ、私の聞き間違えかと思います。志能備が欲しいのです。大原でしたか。是非、下賜下さい。」
「良かろう、明日にでも使いを出す。」
ふぅ、あらかた話したい事は話せたかな。眠い。
「しかし、今日は驚きっぱなしじゃ。本当に知仁の子供かの~。」
「陛下、お戯れを。しかし、栄子の血が濃く出たのかも知れませんね。なにせ私の血の半分は陛下の血ですから。ほほほ」
「お爺様、おもう様、私が後継ぎで宜しいのでしょうか?才は慧仁にあります」
今まで思い詰めた顔で話の聞き手になっていたお兄様が発言した。
「いえいえ、お兄様。お兄様とて神童と呼ばれる程のお人ではないですか。良い意味で、良い意味でですよ。お兄様は保守の人です。」
「保守?」
「はい、良い意味で性格的に伝統や習慣をを重んじる人です。我ら皇族、朝廷を引きいる人は保守の人が適任なのです。おもう様を見れば一目瞭然です。世の均衡を保つにはおもう様やお兄様の様な人が大事なのです。そして、私の様な自由人は、お二方の掌の上で踊るのが心地よいのです。」
『『『なるほどのぅ』』』
「言い得て妙じゃのう」
「とにかく、本日の話の内容はご内密に。私も命が惜しいので、暫くは表向き赤子の振りをしますので、御所内に噂が広がぬ様にお願いいたします。」
話は終わりだな。
「疲れました。眠くな・・・クゥ~」
「やれやれ、寝てしもうたか。寝顔は赤子じゃな。安心する。ホホホホ」
「まことに」
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