第35話 一条家はどうしようかね
慧仁親王 京都大原 1522年
「もう、行かれるのですか?」
「疾 きこと風の如くだよ、ハハハ。東に行く前に、宗滴と会って置きたいからね」
「あ〜、分かります、羨ましいな」
「宗滴と話をして、詰まらない爺さんだったら、朝倉は潰すからね、良いかな?潰すって言っても、おいおいだけど」
「報告だけはしてね」
「承知した。じゃあ、私達は越前に向かうね。またね〜」
「またね〜って、姉様!その白いのは?それ、ヤクーだよね、当たり前の様に乗ってるけ・ど・も」
「ヤクー?」
「キョトン、じゃないよ、ヤクーって、姉様が乗ってる、その白い鹿だよ」
「ヤックル?」
「イヤイヤイヤイヤ、2歳児が諸事情を鑑みて、ネーミングし直したんですけど、ヤクーです、ヤクー」
「ふ〜ん、じゃあ、ヤクーで良いよ。ヤクー、行くよ!それじゃ、堺でね」
もう、名前を認めさせただけ良いや。ヤクーは譲るよ。
「俺達は明日、大原を出発して御所に一度戻る。御所ではおもう様への報告と一条家の者に謁見。それが終わったら、また、堺に下向して拠点の準備だ。その様に取り計らってくれ」
「御意」
〜・〜
「……と言う事で、私は戻って参り、お姉様は越前・朝倉に向かいました」
「うぬ、お前から見て、聖良は如何程の器量か?」
「1つだけ言えるのは、私より賢いが故に、今まで隠し通してたのだと思います」
「分かった、下がって良い」
まあ、そりゃショックか。ぜんぜん知らない姉様の一面だからね。それに、姉様には思う所有るよね。2歳から一緒に住んで無かった訳だし。仕方ないよ、女の子だからって粗末(じゆう)に扱ってたのは自分だからね。
〜・〜
今日、呼んでいるのは、土佐一条家の次男坊。五摂家の一条家へ婿養子に入った、一条房通だ。
「今日は忙しいところを済まない。慧仁だ、宜しく頼みます」
「本日はお招き頂きありがとう御座います」
「実はな、良い相談と悪い相談が有るのだが、どっちから聞きたいかな?」
「では、悪い方からお願いします」
「うぬ、三好元長に四国統一の綸旨がでる事になった。土佐一条家も従わざれば見殺しだな」
「では、良い相談とは」
「土佐一条家に備前守を与えて、備前・美作・因幡を預けてみたいと思ってるのだが、房通は如何思う?」
「勿体ないお話かと存じます。早速、戻って検討したいと存じます」
「ん〜、何か悠長だね。俺なら今すぐ自分で行って、父親引っ張って帰って来るけどね、まあいいや」
「え、あ、う、お、お待ちください」
「あ、もう下がって良いよ」
一条家を潰すのは悪くない手だな。公家をリストラして行く良い先例になる。
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