概要
花火が上がる音で、空に咲く光の花で、今日もわたしたちは誰かの死を知る。
人は死ぬと打ち上げ花火になる。
その花火を打ち上げて、故人を偲ぶ。
中学の同じクラスに、サイトウという男子がいた。
サイトウは誰かの死である花火を「綺麗だ」と言った。
そして夏休み、サイトウは自分も花火になってしまった。
親しかったわけでもない、何があったわけでもない。
けれどわたしは、サイトウの花火を見て、少し泣いた。
カクヨムWeb小説短編賞2021 “短編小説マイスター”特集
https://kakuyomu.jp/features/16816927862675168448
で、選んでいただきました。ありがとうございます!
その花火を打ち上げて、故人を偲ぶ。
中学の同じクラスに、サイトウという男子がいた。
サイトウは誰かの死である花火を「綺麗だ」と言った。
そして夏休み、サイトウは自分も花火になってしまった。
親しかったわけでもない、何があったわけでもない。
けれどわたしは、サイトウの花火を見て、少し泣いた。
カクヨムWeb小説短編賞2021 “短編小説マイスター”特集
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あの夏、わたしは花火を見て、少し泣いた。
思春期に触れる「死」は繊細で、言葉にしたり表現したりするのが難しいものです。本作は「人は死ぬと打ち上げ花火になる」というシュールな設定によって、それを捉えることに成功しています。
タイトルから物語の結末は想像できるのですが、そこに至るまでの「わたし」の心の変化が見どころです。関わりの少ないクラスメイトの男子という距離感がかえって「死」を見つめるのに適しているようで、作者のセンスを感じます。
夏、花火、クラスメイトの死……。エモい要素で構成された、じんわりと胸の中で響く物語です。
(カクヨムWeb小説短編賞2021 “短編小説マイスター”特集/文=カクヨム運営) - ★★★ Excellent!!!死は、美しかったか。
〈それを指差して「ちょうちょ」と言ったわたしは、きっと今のサイトウと同じだ。今だって、見知らぬ人の死の結果を見て、綺麗だと思った。夜空に咲いて、はらはらと消えてゆく光の粒は、何もかもお構いなしにどうしようもなく綺麗だ。〉
恐れれば恐れるほどに、近付きたくなる。そんな謎めいた美しさ、というものがある。多くのひとにとって、その最たるもののひとつに、死はあるのではないだろうか。幼い頃、ふいに漠然といつかおとずれるだろう死への恐怖が萌して泣いたことがある。分からないから、怖い。怖いから、知りたい。だけど誰も知らないから教えてはくれない。自分でも考えても分からない。分からないから、怖い。堂々巡りす…続きを読む