幸せにしかなれない王子の、結婚式前日の物語。冒頭で「絶対に幸せにしかなれない『呪い』」という表現が出てきます。そこで読者は違和感を抱くことでしょう。幸せにしかなれないということは果たしてほんとうに幸せなのか? そんな問いかけを、まるでナイフの切っ先を向けるかのように突きつけてきます。短いながらも心に来る物語をお探しの方へ、どうかどうか届きますように……
この物語を読んだ読者はきっと最初に思うでしょう。『幸せにしかなれない呪いってなんだよ。それは呪いじゃなくて祝福だろ?』と。そして、物語を読み終えて『いや、やっぱ、これは呪いだわ。キツいホラーだな、これ』という感想を抱くでしょう。そこから、さらに考察する人は落ち込むかも知れません。日本に住んでいて、パソコンなりスマホなりを持っていられる者なら、どれだけ貧しくとも、この物語における王子の立場なのだと気付いてしまうかも知れないのですから。