概要
僕は彼女に騙されるフリをして、その詩を世界に撒き散らす……
出版社に務める遥は才能に溢れる作家を探していた。そんな時、遥は出版社のネット投稿で一人の作家に目をつける。作家の名前は蒼井 切(あおい せつ)、遥は切に会う為に車を飛ばす。だが彼を待っていたのは蒼井 響(あおい ひびき)という女性作家であった。響は言う「蒼井 切という作家はあたしの夢の中に棲む作家なの」と。夢の中で切と繋がる共感覚者の響が書き紡ぐ、切と響の現実がシンクロし、二人が体験していく不思議な小説と美しい切の存在に惹かれ、しだいに二人の世界に引き込まれていく事になる主人公の遥。やがてその結末は意外な真実に辿り着く事になる。三人の美しい人間愛が紡ぐ淡い慈愛の物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!一話完結の短編で、ズッシリとした読みごたえ。砂浜に埋もれた美しい宝石。
涼しいそよ風の如くすんなりと読みやすく、読者に物語の世界の奥行きを感じさせる文章。
それは読者にテンポよく物語を読み進ませる。ここまで聞くと単なる「読みやすい小説」に思われるかもしれない。だが、この読みやすさこそがこの小説の重要なギミックの一つなのだと思う。そして、読者は物語と共にあっという間に後半から、終盤に突入していく。
遂に、後半〜ラストにかけて序盤のテンポの良さと読みやすさが、初めて生きる。ここまで軽いジャブに徹してきた小説が初めて、読者に痛烈なブローを与える。
最高に面白かったです。カクヨムという砂浜を歩いてたら、砂の中に埋もれていた美しい宝石を見つけてしまった。