占い師
広大な宮殿の東側に、占い師たちは部屋を与えられ、暮らしていた。
私もその一人で、天候を占うことで王に仕えていた。
王宮での暮らしは快適そのものであった。
絹の衣服が定期的に与えられ、部屋は広く、調度品は豪華であった。
食事は望んだ時間に、食べたいものを好きなだけ口にできた。
ただ、王が遠出をされ宮殿にお戻りにならない日以外は、酒を飲むことは禁じられていた。
また、身の回りを世話する女があてがわれており、朝夕かまわず好きにすることができた。
女が孕んだ場合は王宮から出され、別の女が用意された。
役人が好みを聞き、それに近い女が来る。
すでに私は、十数人の女を身重にさせていた。
女だけでなく、少年を望めば、その願いも叶った。
外出は制限されていたが、煩雑な申請を行い、それに対する許可が下りれば、王宮の外へ出ることはできた。
兵士の監視付きではあったが。
占い師同士の交流は穏やかなもので、たわいもない話はよくするが、各々の仕事については触れなかった。
仲良くなった者との別れを繰り返すと、誰しもが、深い付き合いを避けるようになる。
私もそうだ。
ある日の朝。
私が巨大な尻を特注の椅子に乗せ、胃の拒絶を無視しながら、焼きたての若鶏をむさぼり食っていると、役人が姿を見せた。
私の前で、山盛りになっている料理の数々を一瞥したあと、役人は仕事の話をはじめた。
「王が鷹狩を望まれております。そこで、十日後の天気を占っていただきたい。夕方にもう一度来ますので、それまでにお願いします」
私は何も答えず、口と手を動かし続けた。
昼寝のあと、一緒に寝ていた三人の女を追い払い、私は身を清めた。
それから椅子に坐り、呪文を唱えたのち、象牙のサイコロを台の上に投げた。
占いの結果は、晴れであった。
十日後の天気が晴れならば、私はいまの生活を当分続けられる。
逆に雨だった場合は、先のことを考える必要がなくなる。
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