神話
私製創世神話
まず、無から神が生じたが、そのいきさつはわからない。
やがて、神は混沌の世界を生み出したが、混沌は光と闇が入り混じる、落ち着かない世界であった。
不完全ながら世界ができると、神は眠りについた。
すると、その口から清らかな水が
撒き散らされた神の肉片は、石や木や花などになった。
仕事を終えると、蟹は海へ帰っていった。
ぼろぼろになった、両の鋏を大地に残して。
蟹が去ったあと、両の鋏は姉弟の狐に変じた。
二匹は体を交らわせ、さまざまな生き物を生み出した。
姉弟の狐は世界を生き物で満たすと、最後に神の残骸をこね、人間の男と女をつくった。
それから、姉狐は神の目玉を空に投げ、月とした。
弟狐も真似をして、もう一つの目玉を空に投げた。
それは太陽なった。
このために昼夜が生じ、生き物の成長と死が始まった。
役目を終えた姉弟の狐は、二匹の蝶に化け、どこかへ飛んでいった。
短編集「奇漁」 青切 @aogiri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
みじかいことばたち Ⅲ/青切
★9 エッセイ・ノンフィクション 連載中 42話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます