小説を読む人なら説明不要とすら言えるショートショートの巨匠・星新一。
この作品は、1001もの作品群から各ブロックごとの優秀作品を、そして更に厳選したベスト31を作ろうという大胆なコンセプトのもと作られている。
誰もが知っている有名作から知られざる良作まで、簡単なあらすじと評価を記載した濃密な評価集。
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私の部屋にも、星先生のショートショート集の文庫本が何冊か置いてある。
先生の作品は、アイデアに富み、時代の流れを受けず、先見性もあって、オチも明瞭……「神様」と呼ばれるのも納得だという評価がされがちだ。
それは専ら正しい。が、それが全てでもない。
時代を感じる作品もあるし、ネタやオチがぼんやりしているものもある。
そういうところを含めて公平に評価されているなと感じられた。
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評価の内容を受けて、改めて「悪魔のいる天国」にある一作、「ピーターパンの島」を読み返してみた。
清々しいほどの突き放しっぷりだった。
星新一の魅力は、アイデアや普遍性だけではなかった。
その文体。ブラックな話に特に馴染むであろう、冷めた記述にあったのだ。
ショートショートこそ雰囲気作りが大きく出来に影響するのだなあと、新しい発見を得ることができた。
完成を心より待ちたい一作だった。