第3話貞操の危機です。
「
ふと、
その気持ちはもちろんある。
昔から女の子のように可愛くなりたかった。
だから、こんな美少女の体をもらえて嬉しい。
「嬉しいけど、実感湧かないからなんとも言えないな。」
男から女になるなんてついこの前まで夢物語だと思っていた。
だから、いきなりのTSになんとも言えない。
「そう言えばさ、学校どうするの?」
その一言に絶望感を示した。
なんたって今の俺は別人。
そんな得体の知れないやつを受け入れてくれるわけない。
「どうしよう氷柱姉!?」
「どうしようも何も、諦めて行くしか無いでしょ?」
諦めていくだって?
そんなことできないよ?
なに?
俺を殺したいのか?
「ほ、他に案は……。」
「別に教室に行けって言ってるわけじゃ無いんだから。」
「へ?」
教室に行かなくても、出席扱いをしてくれる学校があったのか?
しかも、うちの学校が?
な訳あるか!
「あんた、本当に話を聞いてたの?」
俺の感情を読み取ったのか、そう言われた。
「病院でも言われたでしょ?TS病にかかってしまった場合、学校での扱いが特別になるって。それに、法律もそうなってるでしょ?」
そう言えばさ、そんなのがあった気がする。
俺は、今日渡されたばかりの資料を漁ってみた。
すると、すぐにそれらしい資料があった。
適当なページを開きパラパラと見ていく。
その中に、御目当てのものが書いてあった。
『学業に関しては、TS病患者のための特別なクラスの編成し、そこで学ぶこと。また、患者自身が望む場合に限り、元のクラスで学ぶことを許可する。』
と言うことだった。
「俺、まだみんなに話さなくていいんだな!」
「ええ、今わね。でも、いずれその時は来るの。覚悟はしておきなさい。』
少し舞い上がってしまったが、そうなんだ。
現状的に引き伸ばされただけなんだ。
いずれ言わないといけないんだ。
「そうそう、それと言い忘れてたんだけど、私当分こっちで過ごすから。」
「百々姉のところに泊まらせてもらうの?」
「違うわよ。ここに泊まるの。」
「?」
あれ?
おかしなことを言われた気がする。
ここに泊まるって言わなかったか?
ここは一人部屋で2人で生活するには狭すぎる気がするんだけどな?
「だから、このあと一旦荷物を取りに帰るけど、どこにも行っちゃダメよ?一応百々にも来てもらうから、変なことすればすぐにバレるからね?」
俺の耳は腐ってはなかった。
おかしくなっていたのは氷柱姉の方だった。
「ちょっと待って、それもう確定なの?俺なんも聞いてないんだけど。」
「聞く必要ないわよ。そんな体になって、困る事が多いでしょ?だから私がそばにいてあげるって言ってるの。」
何故か上から目線。
「上から目線ではなく、今はそう言う立場になったの。両親にも許可もらってるし、さっき百々にも連絡してたから問題ない。」
心を読まれた上に、勝手に話が進み終わっていた。
気がつけば完走していた。
「じゃあ、私いくから。」
そう言って氷柱姉は、歩き出した。
置いてけぼりにされた挙句、外出禁止。
本当に困ったものだ。
とは言っても、俺も外に出る気はないので、関係ない事だった。
「お、お邪魔します。」
そう思っていると、勝手に扉が開き誰かが入ってきた。
俺はそっと扉の方を見て安心した。
入ってきたのは、
声が裏返っていて一瞬わからなかったけど、顔を見て一安心。
「百々姉、そんな畏まらなくていいよ。いつもみたいにくつろいでいいから。」
呼びかけたけど、まだ硬い。
いつも以上に緊張している。
「ご、ごめんね。紅桜君ってわかってるんだけど、容姿が可愛い幼女にしか見えなくて。」
「やっぱり、そう見える?」
ちょっと嬉しくなって、声が弾んだ。
百々姉は嘘をつけない。
だから、本心でそう言ってもらえるのが嬉しかった。
「1つ質問なんだけど、紅桜君より今は紅桜ちゃんって言ったほうがいいのかな?」
呼び方か。
氷柱姉は呼び捨てだから気にしていなかった。
確かに、この姿で君呼びは合わない。
「ま、呼びやすい方でいいよ。俺は気にしないし。」
呼び名なんて俺は気にしない。
容姿にあってようが内容が関係ない。
「そ、それじゃあ、紅桜ちゃんって呼ぶね。」
「こそばゆいけどわかった。」
ちゃん付けなんて昔以来。
だから、あの頃の懐かしさがあった。
「そ、それでさ、体触らしてくれないかな?」
「え!?」
急に怖くなる。
百々姉の目が鋭くなる。
まるで小動物を狩る獅子のようだ。
もしかして、百々姉はロリコンさんだった!?
俺今ピンチ!?
「こ、怖がらないで。別にそう言うのじゃないか。」
俺が咄嗟に後ろに下がると、誤解だと言われた。
「ただね、本当に女の子になったのかちゃんと知りたくて。」
「で。でも、流石に‥‥。」
「大丈夫。本当に手は出さないから。」
両手を合わして懇願してくる。
ただ、世間では中に出さないと言って最終的に出す人がいるくらいだ。
百々姉を信頼しているつもりだけど、裸の写真を撮られて脅されても困るし。
そう言うことをしない人だとはわかっているんだけど、やっぱり心配が拭えない。
「氷柱姉が来てからにしてくれると助かる。二人だと、ちょっと…。」
「うんうん!」
とても嬉しそうに頷いていた。
俺は百々姉について、認識を改めなければ今後体が危ないと思った。
それからと言うものは、さっきと打って変わっていたって普通。
さっきまでが嘘みたいに普通の会話ばかり。
そして、ついに氷柱姉が帰ってきた。
「氷柱ちゃん、おかえり。」
「氷柱姉おかえり。て、荷物多いね。」
見てみると、キャリーケース2つに大きなカバン2つ。
1週間分の荷物だとしても多すぎる。
「私だけじゃないよ?」
「だよね。で、誰の?」
「紅桜、あなたのよ?」
「?」
おかしいな。
俺の荷物は全て持ってきているはずだから、向こうの家にはないはずなんだが。
「紅桜、女モノの服持ってないでしょ?」
「え、いや、その‥‥。」
本当は持ってる。
女装はやらなくなったけど、以前着ていた分はある。
ただ、大きさ的には大きいかも。
「その様子だと、持ってるけど大きさが合わない感じね。なら、持ってきてよかった。それと下着は?」
「持ってるわけないだろ!?」
流石にそこまではできない。
俺は男だったんだ。
買いに行けば怪しい目で見られて、最悪警察にお世話になる。
「持ってないようね。流石に持ってたら通報してたわ。」
「当たり前だよ!」
流石に焦った。
百々姉もいるのにこんな話することじゃない。
それに、変な誤解も生まれてしまう。
「そ、そうだ!」
次は百々姉が声を上げた。
「紅桜ちゃん、約束を果たす時だよ。氷柱ちゃんがきたら見ていいって話だよね。」
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