第13話友達とツンデレ同級生
「お、ここにいたか!」
「樹君、集会サボりはダメだって言ってるじゃん!」
2人で話していると扉の方から神事と永遠の声がした。
下を見たらまだ全校集会は終わってないから抜け出してきたみたいだ。
「あれ、この間の幼女がいるじゃん!?」
「樹君の妹ちゃんだったの!?」
俺に気づいたのかさっきよりも大きな声で叫んでいた。
しかも、未だに永遠は俺のこと勘違いしてた。
「俺の妹じゃないぞ。それより、2人はこの子の知り合いなのか?」
「えーっと、」
「この前校門で会ったんだよ。永遠がこの子と校門で言い争いしてて俺が仲介したんだ。」
神事がざっくりであるが説明してくれた。
ただ、幼女幼女と連呼されるとちょっぴりムカついてしまっまた。
「そんな事があったのか。・・・てか、小学生だと思ってたなら、もっと大人な対応したらどうだ。」
「そ、それはそうなんだけど。」
言われれば今まで子供っぽいところを見なかった。
ここまで引きづるのは初めてかもしれない。
「ごめん!」
「い、いえ。気にしていないので。」
反省してくれたのか大きく頭を下げてくれた。
自分でも見た目が小学生みたいだと理解してるからそこまで怒ってはいなかったけど。
多少ムキになってしまった面もあるのでお互い様だ。
「ところで、2人で何話してたんだ?」
「世間話みたいなものをな。」
思いっきり嘘をつくところがすごいと思った。
顔色変えずあそこまで平然と嘘をつけるのは恐怖すら感じた。
それから、全校集会が終わるまで4人でたわいのない話をした。
男だった時みたいな楽しい時間がその時だけは確かにあった。
見た目が変わっても、同じように楽しめる空間があってとても嬉しかった。
「それじゃ、ここでお別れだな。」
「ばいばい。」
「またはなそうな!」
「みなさん、ありがとう、ございました。」
最後は、どうしても他人行儀な言葉使いになってしまったけど、それでもまた友達のような関係に慣れていた気がする。
3人と別れると、保健室に直行した。
バレていないと信じてはいるものの、褒められたことではないのでなるべく急足で戻った。
先に誰か戻っているのか気にしながらも扉を開けると、既に3人も部屋にいた。
「あ、紅桜ちゃんだ!やっときたよ!なんで、全校集会きてくれなかったの!?」
「お、おはよう、ございます。」
部屋の中から若葉先輩と黒咲さんが駆け寄ってきた。
それに、若葉先輩には私がグラウンドにいなかったのがバレている。
あの大人数の中からでもいるかいないかが分かるのは怖すぎる。
「すみません。いつもの感覚で。それと、黒咲さんおはよう。」
「いつもって、全校集会はちゃんと出ないといけないんだよ?」
「次からは気をつけます。」
気をつけるとは言ったものの多分次もサボると思う。
面倒くさいわけではないけど、あの時間帯の屋上がやけに居心地がいいからやめられない。
「私がいない間に、2人とは仲良くなったのね。」
2人と話していると、満さんに声をかけられた。
その目は少しだけ蔑んでいるみたいで、チクチクと心が痛くなる。
それに、昨日の出来事が合ったから、余計に居心地が悪い。
「あ、あの、き、昨日は、ごめんなさい。」
「何謝ってんのよ。」
怒っているように見えたから謝ったんだけど、余計に怒らしてしまったかもしれない。
「もー、何があったかは知らないけどピリピリしちゃだめだよ?今日は重たい日なの?」
「そう言う話はやめて。それに、ピリピリしてない。」
彼女はああ言ってるけど、どう見てもピリピリしてる。
視線が痛いぐらいに刺さるからもう許して。
「あんた、なんで昨日すぐ帰ったのよ。」
「公園のこと、ですか?」
「そうよ。私の話も聞かないで勝手に帰って。」
それは、とても落ち込んでいてすぐに居なくならないとと思っていたなんて言えない。
本人を目の前にして言えないけど、
「私が、余計なことをしちゃったから、すぐにいなくなったほうがいいかなって。」
「はぁ!?本気でそれ言ってるの!?」
「ひぃっ」
「満先輩、大声は‥‥」
いきなりの大声にビビって体を縮こまらせてしまった。
黒咲さんが心配してくれたけど、満さんはそれすら忌まわしそうに見ていた。
「これじゃあ、まるで私が悪者みたいじゃない。」
「満ちゃん、そうにしか見えないね!」
「あんた黙ってなさいよ!」
若葉先輩がノリノリで言うから満さんの怒りのボルテージがさらに上がってる。
もうやめて、涙が出そうだよ。
「私はただ、ただ、あ、あや、あや・・・」
今になって何故か噛み始めてしまった。
言おうとしている言葉が何か問題があるのかもしれない。
「満ちゃん、噛み噛みだよ?大丈夫?」
「はぁ!?」
やめてー!
これ以上満さんを怒らすようなこと言わないでー!?
黒咲さん、若葉先輩の口を何かで塞いでー!?
「‥‥(任せてください。)」
視線を送ると親指を立ててくれました。
これこそ心が通じ合ってると言うもの。
ただし、黒咲さんは近くにあった包帯を手に取り、それを若葉先輩の口周りに巻き付けたのは想像していたのと違い驚いた。
まさか、物理的に口を閉じさせるとは、黒咲さんは少し脳金的みたい。
「もがもが!?」
「若葉先輩、少しだけ、我慢してください。」
「もが、もが、が‥‥(ちーん)」
ようやく静かになり、黒咲さんが若葉先輩を引こづって隣部屋に入ってくれたので2人きりになれた。
「えっと、こほんっ。邪魔なやつが消えたからさっきの続きだけど、私はただ、お、おれ、お礼を言おうとしてただけなの!」
「‥‥?」
「な、なのに、あんたが勝手に勘違いして帰ったんじゃない。せっかくお礼を言おうとしたのに。」
今、お礼をって言ったよね?
なんで?
あんなに怒ってたのに、お礼をしようとしてたの?
帰り際に何か言われているような気がしたけど、その時帰るのを止めようとしてた?
勘違いして、1人で空回りしてた?
は、恥ずかしい~!!
夜遅くまで考え込んでたのに、それが無駄なことだったなんて。
そんな~?!!
「だからその、き、昨日は助かったわ。ありがとね。」
「う、うん、うん。」
うざがられてもっと嫌われると思ってた。
こっ酷く文句ばかり言われると思ってた。
「あんた、なんで泣いてるのよ!?私が酷いこと言って泣かせたみたいじゃない。」
「す、すみません。すぐ拭きます。・・・あれ、おかしいな?なんで止まらないんだろう。」
拭いても拭いても止まらない。
悲しくもないのに涙から出る。
嬉しいから涙が出るんだろうか?
でも、ちょっと違う気がする。
他にも何かある気がする。
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