第15話 初美ちゃん

SH、って言えば

初美ちゃんの恋の相手もSHって奴で

野球部の、歴史が得意な奴。



いつだったか、初美ちゃんの思いを

お節介な女の子、テニス部の平田が伝えた。


彼は「あんな、いのぶたみたいな女嫌い」



とか言われたけど、初美ちゃんはニコニコしてるだけ、だった。


女の子、丈夫でいいなぁ(笑)

本当はつらいんだろうけども。


やまこーみたいに

家に帰っちゃったり

する事もなくて。



初美ちゃんは

決して、いのぶた、

なんかじゃなくて

男子の人気も高い子だったんだけど。


SH君はたぶん、照れ

ちゃったんだろね。




初美ちゃんの席は、廊下側の

真ん中あたり。

だから、SH君がF組に入って来るのも解ったし

表情で、何を言うか大体

見えてたのかな。


SHもヒデー奴(笑)。



やまこーは情けない奴(笑)


でも、やまこー、どうしてそんなに

桂子がいいんだろ?って

よくわかんない僕だった。なので

たけちゃんに聞いてみた。「片思いでさ、悩んだ事ある?」って。



たけちゃんは、ない、って(笑)

しんちゃんは、ずーーっと

片思いしてる、ってか

文学を楽しむように、

片思いを楽しんでるみたい。


恋愛映画が好きで、

よく、ひとりで

見に行ってたらしい。


恋してる、のが

楽しいんだね。



それは、なんとなくわかる。


僕は、ギターで唄う時や

演奏すると

なんとなくいい気持ち

だし、それだけでいいと

思ってた。


たぶん、それと

似てるのかな。



誰もいなくなった

放課後の教室で

僕は、ギターを弾く。

響いて、とってもいい音。

大抵誰かがやって来て

楽しい時間になる。


ダンスしたりも。







土曜日だけは、半日授業だったから

真っ直ぐ家に帰ってFMを聴いてた。

ポップスベストテン、リクエストアワー。


音楽は楽しかった。

ミュージシャンになれる

とは思わなかったから

録音技師になろうかな

とか思った。


親戚にミュージシャン

は居たんだけど

遠い人みたいに思ってた。

家にある古いレコード、

楽譜は

その人の趣味だって

ずっと後で解ったけど

ギターも、昔

その人が使ってたものらしい。



でも僕は、それがクラシックギターだったので

フォークギターがほしくて。


伴奏をするのに、コードが

クラシックギターは

押さえ難かったから。




そのギターは、悪友に強奪されたが

ともちんにあげればよかった。



「ギター教えて」って

ともが言ってたから。



それで、僕は

フォークギターを奨めたんだけど


どの型がいいかわからない、って言うから


なんでもいいよ、っていうと

僕のと同じギターを

町の楽器店で買ってきた(笑)

色まで同じで、こりゃ

またみんなに誤解されるなぁ。

と思った。









でも、ちょっと気になるのは

ともは、片思い中のコーが

ギターが好きだから

それで、覚えたいのかな。それはちょっと悲しい。




尋ねて見ると、ともは

かぶりを振る。


「そーじゃなくて、でぃらん、カッコイイから。」


僕が聴かせた、ボブ・でぃらん。


なんかのビデオだったか。それをカッコイイと思ったらしい。



それならいいか(笑)。



明るい元気なともは、かわいい。

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