第6話 ひだこー

ひだこーは、ほんとの名前はかずみ。

宮崎生まれの色白美人だけど

自分では埴輪の顔、なんて言っている(笑)。


お父さんの転勤について来て、ついて行った。


南の風みたいな子。


どうしてだか、僕らの

なかよしグループに入ったのは

なんだかわからない(笑)。


短い間に、バスケ部に入って

大活躍して

急に転校してった。


その間、色白美人のひだこーに

ゆうの片思い中の彼が、目が眩んで

ちょっと危ないこともあった(笑)。


でも、ゆうはお嬢様だから

黙って見てるだけで。


ひだこーは、べつに

なんにも気にしなかった(笑)。


彼のことなんて。


そういう子だった。



お別れの日、みんなで駅まで見送りに行ったのは

ちょうど、こんな夜だった。

それで、最後に僕はやっぱりひとりになって。


それは、僕が校区のハズレに住んでいたから、なんだけど。

校区のハズレってことは、一番駅に近かったので

隣の中学に入ることも、できたけど

でも、今の大岡山中学に入って良かったと思ってる。

ひだこーや、みんなにあえたし。

先生も、みんないい先生だった。



二年生になって最初は、ハズレのクラスだって思ってたんだけど(笑)。

担任の先生は新任の女で、理科教師、そばかすだらけであんまりお洒落じゃない、とあって

なんだかなぁ、と思ってる僕らの前で、始業式のその日に泣いちゃう、変な先生(笑)。


僕らが騒いでたから、だって。

でも、僕は科学部にも入ってたんだけど

この先生が、理科準備室にいるときに

なぜか、よくクラスのことを聞かれたりしたから

いろいろ、話した。


それでわかったのは、この先生も心細いんだろうな、って事だった。


生真面目で、なぜか

普通の女の子が好きなような

お洒落とか、恋とかの

代わりに理科の勉強をして

先生になったって、そんな感じだった。


髪はぱさぱさで、おかっぱ、に切ってて。

いつも白衣を着てた。


あんまり、女の子にも

人気が無かったみたいで

そんなとこは、かわいそうだと

僕らは思ってた。



で。

もうひとりの2年生担当の理科教師、熊に

その事を話した。


熊は無骨な山男、生物担当。

暇があると登山して、花の写真撮ったりしてる。


熊は、時々

理科準備室で、うちの担任と話をするようになった。


その頃からかな、担任が元気になってきて。


クラスで、音楽の話をしたり。


ちょっとは、女の子っぽい(笑)感じになってきたり。



やっぱりひとりよりふたりかな、(笑)なんて

僕らは喜んだ。



良かったね、って

なかよしグループのみんなも

そう思ってた。



その少し後かな、ひだこーが転校してきたのは。



夏服の、清々しい白。

南宮崎の学校って、あんなに真っ白の制服なのか、って

僕らは思った。


暑い地方だからかなぁ。


とっても明るくて、夏休みのお日さまみたいだった。


初めて会った僕らに、古い友達みたいに話しかける。

もちろん、僕らも打ち解ける。


それで、すぐに

僕らのグループのひとり、になったんだ。


すぐにいなくなっちゃうって

この時は知らなかったからかけがえのない友達になった。



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