第7話 2F音頭



それで。

風向きが変わるみたいに、転校したんだっけ。


でも、故郷、宮崎に戻るんだったから

みんな納得した。


その方がいいよ、って。


でも、やっぱり友達がいなくなるのは淋しいから

転校なんて嫌だな。


僕はそんな風につぶやく。


たけは理知的だし、大人っぽいから

そうだけど、仕方ないね、って返す。






そんな結末は、この時は知らずに


2年生の夏休み、高原教室と言うイベントがあった。


山の方の学校を借りて、そこで一晩泊まって。

キャンプファイヤーをやったりするんだ。



それなりに僕らは楽しみだった。



そのキャンプファイヤーで、なにかクラスのダンス音楽を作ろうか、なんて話をしたんだけど


担任、あの新任先生は

2F音頭とか、なんてズレた事言うので(笑)


悪ガキどもは大笑い。



僕は、また泣くと困るな(笑)と

思ってたら


やっぱり泣いて教室を出てっちゃった(笑)。


困るなぁ、女の子先生は(笑)って

僕が言うと

ともは、「かわいそうだよ、だってまだ24だもん」なんて、14歳が言うんで

僕は可笑しくなった。


でも、ともってフランス人みたいな顔で

クールなのかと思ってたら

意外にあったかいんだな、なんて(笑)

思ったりもした。



ずっと後になって、ナースになるんだけど

ほんとの天使さんみたいだった。


優しくて。


そんな訳で、僕らは

東京音頭の替え歌みたいな2F音頭を作った。

というか、東京音頭をよく知らなかったので

テキトーに歌って、僕がギター、毎日学校に持って来てたので

それで伴奏付けて。

初美、ってともの親友の

ブラスバンド部でおんなじクラリネットパートの子がピアノ譜にしたら

全然違う曲になった。



僕ら才能あるのかな(笑)なんて。


とにかくそれで、女の子先生、AKGは泣かなくて済んだ。

やれやれ、世話の焼ける先生だ(笑)って僕らはつぶやく。



AKGってのは、ドイツのマイクの名前だけど

ほんとは赤毛、の事。


口の悪い国語教師、にひりすと気取りのたいぞーが

赤毛の猿、って言ったんだった。


女の子先生に。


ひでー奴(笑)。


たいぞーは、若干いびり癖があったけど

僕は、体が大きかったので

べつに気にしてない(笑)。


おおらかな校風の、O中学校。

みんな、のびのびしてた。


ある時、たいぞーは、結婚した。

国語の授業中、その話題になったから

田舎の中学校はのどか。(笑)



新しく電話をたいぞーの新居に引いた、とか。


番号は32ー9109だ、って言うから(笑)


書道部の政志が「じゃ、語呂あわせは醜い奥さん」


なんて言うから、クラス大爆笑。


はい、ご一緒にー、みにくいおくさん。


と、誰かが言ったので。もう忘れない(笑)。


いまも覚えてるもの。



奥さんは、八代亜紀に似ている。

熊本出身じゃないけど(笑)。



たいぞーは「おまえら、内申書覚えておけ」なんて冗談で言っていたが

3年生じゃないから、気にしなかった(笑)。


高校入試の後、たいぞー作の内申書を見たけど

悪い事は書いてなかったから

ほんとはいいやつなんだろう。



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