第8話 内申書
ゆうは、いいとこのお嬢様なのに
なんで、こんな下町の公立中学に来るんだろうと
僕らは思ってたけど
田舎なので、私立の中学がその頃は無かった、って
だけの事だったみたい。
物真似が得意で、髪型までアイドルに似せて
エアなんとか、(笑)そっくりだった。
たまーに乗りすぎて
数学の佐藤せんせ、お年寄りなので
話がスロースロー、の
せんせの物真似をしたりして(笑)
放課後のクラスで爆笑してたら
なぜか、佐藤せんせ登場(笑)。
なーんもいわんと。
忘れ物を持って帰った(笑)。
ゆうは、本気で気にしてた。
内申書。
お嬢様だなぁ(笑)。
私立高校は、推薦なので
それを気にしてたらしいけど。
そんなの気にしなくたって
学校なんていくらだってあるさ、って
慰めになってない冗談を、柔道部の雅俊が言った。
そんなので内申書書く教師なんていないって事は
後で解るけど。
そのくらい受験って、一大事だったんだろうと思う。
僕は、どうでもいいと思ってた。
音楽業界、レコード作ってみたい、そう思ってた。
学歴関係ないし。
まあ、中学生だったし(笑)
子供の頃から、人前で歌うのに慣れてたし
学校にギター持ってきて
女の子に囲まれたり、なんてのが
ふつーだった毎日だったから
レコードプロデューサーになりたい、なんてのも
簡単に叶う夢だと思ってた(笑実際、出すのは簡単だった。売れないだけで。)
雅俊は、ゆうの片思い中の彼氏Yと幼なじみ、家が近所。
で、柔道部で1年の時僕と一緒だった、と言う訳。
気さくでいい奴だった。
そのあたりは、Yと似てるけど
お調子者で、植木等さん似のYと気が合うのも一緒。
ホモ達だって言われてた(笑)。
あるとき、ふたりがいる部屋から「わー、白いもんが出ちゃったー」って声が聞こえて
おかーさんが心配したらしい(笑)。
白いものって、木工用ボンドだったらしいけど(笑)。
工作大好き少年は、飛行機なんかを作ってたのだ。
それは僕も一緒で、グランドでUコン飛行機なんかを飛ばしてたので
結構目立ってて、それを雅俊とか、ともの片思い中の彼氏、コーなんかが見てて「あれ、カッコイイ」なんて。
模型飛行機クラブが始まっちゃう訳。(笑)。
模型と言っても、アルコール燃料に立派なエンジンの付いた飛行機で
ワイヤーでつないで、ハンドルで舵取り。
つまり、操縦をする人間を中心に
円を描いて飛行機が飛ぶと言う
単純な遊び。
だけど、無線操縦と違って
エンジンの振動が手に感じ取れるので
実感があって楽しかった。
それが、コーが興味を持った理由かもしれない。
カッコイイのが好き、って言う
男の子っぽい理由だった。
古い農家で、梅干し漬物のおばあちゃんに育てられたコーは、結構甘えん坊で我が儘なとこがあって
その辺りが、僕らなかよしグループに馴染めないところ、でもあった。
そう、グループって言っても
決まりがある訳ではなくて
気が合う同士が集まる、って言う感じだったから
我が儘勝手な人は自然にいなくなっちゃう。
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