第10話 科学部

校舎の西の端っこ、2階は理科室で

放課後は科学部室として使ってた。


隣は理科準備室なので

たまーに先生が居たりする

気の抜けない場所。(笑)


それでも僕らは、楽しく遊んでた。


柔道部を1年の終りで辞め、2年の始めに科学部に入ったんだけど

丁度あの、AKGが居場所が無くて準備室に篭ってた頃だった。


授業中の音を録音して

テープ起こし。

それを研究してるという

まあ、熱心なんだろうけど

それで授業が上手くなるとも。。。(笑)。



それで、僕らは言った。



「先生は 真面目すぎて付き合い難いなって思う」



AKGは、なんだか悲しそうに「学生の頃からそう言われる」って。



また泣かれると困る(笑)



ので、しん、「あ。いやーあの、真面目はいいんですけど、そーだ。片岡先生の授業覗いてみたら」



片岡先生は、ベテラン理科教師で、天皇陛下のご学友(笑?)というすごい人。

でも面白い破れかぶれ教師で、冗談混じりの授業で人気があった。



「そりゃ、構わんが。でもなんで生徒の君たちが?」

別の日、理科準備室にAKGが居ない時。

実験器具で珈琲沸かしてる片岡先生に僕らは頼んだ。


たけは「AKG先生が悩んでるし、すぐに泣くからかわいそうで」



片岡先生は、うーん、と考えて。「よし。じゃあ熊も呼ぼう。理科教師みんななら彼女も傷つかんだろう。」



ひとり研修じゃ、AKGのプライドがあるから、って。


なーるほど。





それが、思わぬ恋の橋渡しになったのは前述の通りで(笑)


いつもみたいに、僕らなかよしグループはカップルをまたひとつ作った事になった。



でも、自分達は相変わらず片思い中がほとんど(笑)なんだけど。


<a href="http://www.youtube.com/watch?v=k0WU1ePzhOI">明日に架ける橋</a>


この曲を僕は歌いたくなったから

屋上への出口へギターを持って行って、歌った。

bridge over troubled water

恋の橋渡しが、AKGのトラブルウォーターを超える橋、になっちゃって

良かったな、なんて思ったりも、した。



自分のトラブルは全然、越えられないのに。(笑)


西階段は、あんまり人が来ない。

屋上へ昇る出口が締め切りになってて

がらくたが置いてあるから。


なので、僕はよく

ここでひとりでギターを弾いたり。


音がよく響くので、誰かがギターを聞きに来たりも、する。



でも、演奏に熱中してると気づかない事も多いけど。


この時も何人か来て、降りていったり。


なぜか女の子ばかりだった。


柔らかいアルペジオの曲だったからかな?



そのうちに、ともが

クラリネット抱いてやって来る。

ブラスバンドの練習は、パートに分かれて空き教室で勝手にやってたから

サボるのも自由(笑)

「しゅーってさ、おーるでぃーずばっかりだよね、歌うの」って、ともは言う。

最近の歌って難しいんだもん(笑)、って言った。けど

それは、家にある一杯のカセットテープ、それと譜面のせいだった。

持ち主不明の。

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