第18話 アリスの疑問と答え
「施設の誰かの話を聞いてもいいか? もちろん、話していい範囲でかまわない」
「山で育ったおじいさまは、幼い頃、
「あー」
「なるほど」
「なんか、そんな映画あったよね?」
「あった。なかなか強烈だったな」
施設の皆さんとお話しをするようになってから思ったのですが、意外と男性の方が食に関して
「やはり山で育ったおばあさまは、幼い頃、
「すごいな。家庭で醤油やお茶も作れるのか」
「実際作っていると大変だろうけど、今聞くとすっごく
「すべて
そのおばあさまは、今の様に、自分のために時間を使えることがとても贅沢に感じると話しておられました。
「とってもお
具体的には言いませんでしたが、食べ物がなくて母親は栄養不足になって母乳が出なくなり、赤ちゃんは母乳をもらえず、母親の腕の中で死んでしまったのです。
私にとっては昔話や映画の中のような出来事ですが、それがほんの数十年前の現実なのだと、皆さんが体験したことなのだと、話して下さいました。
「施設の皆さんのお話を聞くことは、私にとって、最初は
――どうして生きなくてはならないのか?
それはずっと少女が疑問に思っていたことだった。
「どうしてか、ずっと考えてはいるのですが、今でもわからないのです。わかりませんが、今は『知りたい』と思っています」
「なにを『知りたい』んだ?」
「なんでもです。知らないのは皆さんに失礼だと思ったのです。皆さんの家にご
「え、うわ。それ、俺んちでも山でも
「無理しているつもりはないのですが、なかなか体力が追いつかなくて」
「まずは体力作りをしたらどうだ?」
「しています! でも、早く知りたいのです」
「その気持ちはよくわかる」
「ふふっ。朔哉さんの集中力は素晴らしいですもんね。遅くなりましたが、あらためて、『紅葉の謎』を解いていただき、ありがとうございました」
「どういたしまして。俺も助かった。ありがとう」
「そういえば、サクはSOUVENIRの『紅葉の謎』は解けたの?」
「解けた」
「え? 聞いてないんだけど?」
「言ってないからな」
「いやいやいや。で、なんだったの?」
「それは教えられない」
「はあ? なんで? ここまできてそれはないでしょ?」
「勝手な想像になるが、解いたプレイヤーはすでに何人もいると思う。誰も明かしていないだけで。だから俺も明かさない」
「ええー? なにー? 気になるー」
「気になるなら自分で解くんだな。ヒントはすべてそろっている」
「うぅ。アリスちゃん、なんとか言ってよー」
「すみません。私も解いたんです」
「はああ?」
「私も施設に現実での『紅葉の謎』を解いた連絡を入れたのです。その後、SOUVENIRの
「えええええ?」
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