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「話を遮ってすみませんが、あなたは部屋に到着したのは何番目でしょうか?」
「最後でした。 必然的にそうなります。」
「なるほど。 階段近くの2部屋はゲストルームになる訳ですか。」
「おっしゃるとおりです。」
「ゲストルームはお客が泊まったとき以外に部屋に乱れたりすることはないのでしょうか。」
「ないです。 念のためにベッドを整えますが、乱れたりしたことは1度もありません。 何か事件と関係があるのでしょうか?」
「なくもありません。 いろいろと材料があって損をすることはありません。 事件の日以来コーヒーをもらった部屋以外は掃除をしていないのですね。」
「いいえ」
「家族間で何かあったことは?」
「申しあげられません。」
「そうでしょう。 はなから期待はしていません。 春人さんとゆみさんから聞くとしましょう。 次は春人さんを呼んでください。 オレが質問したことは誰にも話さないでください。 よろしいですね?」
佐藤はうなずくだけだった。
春人が部屋に入ってきた。 どこか不安そうな表情をうかべている。
「あなたが探偵? 良かった。 こもりきりにうんざりしていたんです。」
「父親が死んだというのに自分のことですか。 全く。」
木村はやれやれといわんばかりに首をふる。
「まぁ、いいです。 事件のことを話してください。」
春人は話し始めた。 佐藤と涼子と同じことを言っていた。 夕食が終わった後、部屋にこもりパソコンで動画を視聴していたようだ。 パソコンを持ってきてもらい確認したが、本当だった。
駆けつけたときは1歳年上のゆみが先にいた。
「家族間で何かありましたか?」
「それは姉からきいてくださいよ。 いやってほどきけますよ。」
「最後に死体に触ったりはしていないですか? 何が刺さっていましたか?」
「え? 触ってなんかいませんよ。 何だったろう… おかしいな、思い出せません。 部屋から出たときも誰も触ってなんかなかったです。 触っていない、これだけはいえます。」
「信じましょう。 次はゆみさんを呼んでください。」
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