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ゆみが現れる。 不機嫌そうな顔だ。
「早く解決をしてよね。 こっちは家から出れないんだから。」
木村は無言だった。 たぶん、春人と同じ言葉が出ているから2度も言いたくないのだろう。
「話してください」とめんどくさそうに促す。
「いいわよ。 夕食が終わった後、本を読んでいたわ。 読んでる途中に悲鳴でジャマされて文句でも言おうと聞こえた方向に行ったの。 そしたら、あいつは死んでいた。 内心、喜んだわ。 あいつにくどくど言われるのはなくなる。 こらえて、動揺したふりをね。 これだけは言える。 私は殺していない。」
「素直に話して助かりますよ。 あなたは哲人さんに嫌な感情を抱いていた。 なぜでしょう。」
「あいつは私が中学生の頃、ビジネスを嫌って叩き込まれたのよ。 あいつはやる気のない私をみてもお構いなし。 おかげで友達とは遊ぶ時間なんてあまりなかった。 まぁ、おかげで上手く経営を回せているわ。 あいつが憎いのが分かったでしょう。」
「ふーん。 死体には何が刺さっていました?」
「何かよ。 覚えていないわ。」
「分かりました。 涼子さんに聞きたいことがありますので呼んでくれますか。」
ゆみは頷き、涼子を呼びに行った。 ほんの数十秒で聞く人は変わった。
「訊きたいことは何でしょう?」
「なぜ哲人さんは娘にビジネスの教育をしたのでしょう。 やるなら18歳からでも良かったはずです。」
「あの娘、まだ分かっていないのね。 ゆみが小さい頃に死ぬか生きるかの病にかかったのです。 結果、ああやって生きています。 哲人には教えられるのはビジネスしかなかった。 不器用なのね。 穏やかで優しいのに。あんな経験したから何か生きる滑がビジネスだった。 ゆみに尋ねられても答えなかった。 あの事件の日、仕事を終えたらいうはずだったのに。 あの人はいない…」
涼子は息を吐く。
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