1-12

「なぜかしらね。 あの人はどうして殺されなければなかったのでしょう。」

「それは今は分かりません。 一通りまわってもよろしいでしょうか?」

「いいですよ」 力弱い返事がくる。

 宮田はなぜかこの人は殺していないんじゃないかと思った。

「宮田、何をしている? 一緒に行くんだ。」

「あぁ。」



 宮田は木村についていくだった。

 2階は5部屋だ。 哲人と涼子、春人、ゆみが使っている。 もう1部屋は物置きになっている。 物置きには掃除道具しか入っていない。

 1階は客間兼リビングとキッチンが別々に別れている。 ゲストルームが2部屋。 合計、4部屋だ。

 本館を出るとキレイにそろえれた草が生えている。 本館の後ろから数m離れた場所から囲うようにへいが4、5mほどある。

 木村は塀を1週回った。 門の近くで止まり、手と手を合わせ三角になるようにポーズをする。

 宮田には分かっていた。木村が考えるときにやるポーズだ。

 木村はポーズをやめ、息を吐く。

「さぁ、整理をしようじゃないか。 分かっていることは何だ。」

「防犯カメラはなし。 血液を調べることはできない。 死体は見つからない。」

「そうだ。 最初の2つが今回の事件の解決を遅くしている。」

「待って! 死体の話は?」

「後々、話すとしよう。 ここの人たちの特徴と事件の整理からだ。 山田涼子から。 ビジネスに関わっているが、自分が関わっている自慢をしない。 控えめな人物だ。 これが夫婦関係を良くしていたんだろう。身長は165cm、細身であり美人である。 男性に言い寄られていることだろうな。 話を聞いた態度からは負の感情は感じられない。 まず、殺していないだろう。 あとの3人からの証言からは第一発見であることだ。 彼女が刺した場合、指にケガがみられるはずだ。 だが、見られなかった。 第一発見者を疑う説はなしだ。」 

「たしかに僕もあの人はやっていないと思った。 君ほどの材料はなかったけど。」 

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