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「執事の佐藤。 宮田が言うのは無理ない。 長年尽くしてきていて、やるわけがない。 そうも考えるだろう。 だがな、彼だけ着けているものがある。」

「着けているものといえば、手袋だ。」

「正解だ。 佐藤はあるミスを犯した。 ゆみと春人の証言だ。 分かるか?」

「死体に何が刺さっているか覚えていないと。 なら、2人が共犯の可能性があるだろう。」

「いや、ないだろう。 共犯ならバレる可能性はある。 どこかぎこちなさが出るが、それはなかった。 よって、その説はなしだ。 佐藤は唯一、力があり誘導ができるポジションでもあった。 佐藤は警察に通報しないと最初に発言した人物だ。 1人だけ把握をしていた。 後はみんなを集めてからだ。」

「死体がどこにあるか言っていないぞ。」

「死体か。 隠し部屋だよ。」

「隠し部屋なんてどこにもないじゃないか。」

「全く、君は」 木村はため息をつく。

「本館を見ろ。 何か違和感はないか?」

 宮田は本館を見た。 

 何かがおかしい。 横幅が部屋の大きさが合っていない。

 1部屋くらいのスペースが無駄にある。

 客間兼リビングと哲人の部屋の横にある。

「気づいたようだな。 使われていない煙突がそう見せている。 一見、自然にみえるが違うんだ。 よく見ないと分からないだろう。 おそらく、気づいているのは佐藤だけだ。 普段、生活していて案外気づかないものだからな。 これは哲人は部屋に入って確信に変わる。 本棚と本棚は間にほこりがたまるはずが、たまっていない。 不自然さを生んだんだ。 後は佐藤を先に隠し部屋に入れてみんなの前で謎解きというわけだ。」

「抵抗しないだろうか?」

「抵抗はしないだろう。 本人もいつかばれると気づいているはずだ。」

 宮田はどこか不安に感じずにはいられなかった。 殺人犯がやけになる可能性だってあるはずだ。

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