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宮田は分からなかった。 女性が小さく笑うのかを。
「噂どおりのかたです。 私からの依頼は夫の死体を見つけることと犯人を見つけることです。 くれぐれもこのことは内密にお願いします。 私たちにキズがつくと今後とも生きにくいものですから。 報酬はたんまりとはずみます。」
「なるほど、あなた方のビジネスにキズをつかないようにですか。 警察に行くと、マスコミに漏れる可能性がありますしね。」
「木村さん、その通りです。」
宮田ひとりだけが理解が追いつかず、置いてかれている。
何が起きているんだっと心の中でつぶやくしかなかった。
「自己紹介が遅れました。 キンブル財閥の山田涼子と申します。」
宮田は聞いたことがあった。
全国に銀行、ガソリンスタンド、スーパーを手がける有名な財閥グループである。
夫婦で資産1000億円とも噂されているのだ。
「それで、表舞台にあまりでないあなたがキンブル財閥を作った夫婦の妻とはね。 驚いた。」
「あまり驚かれないのですね。」
「えぇ、なんとなくは察しがついていました。 近くでは見ない類いの雰囲気を持っていますからね。」
「面白いお方です。 事件の話をしましょう。 おとといのことです。 木村さんが指摘したとおり、大泣きをしたのはその日です。 夕食が終わり、1時間ぐらい経ったころでしょうか。 夫の部屋を話があったので扉をノックしました。 1回、2回、3回とコンコンと2、3回くらいを間をあけて叩きました。 こんなことは時々、あることでして、扉を開けて中を確認しようとしました。 その時です。 夫は床にうつぶせに倒れていました。 何か様子がおかしい。 体を揺らすと、何も反応はありません。 体をなんとか反対にすると胸に赤い血が流れていて、顔は青白い。 私は思わず、叫びました。 すると、息子の春人、娘のゆみ、執事の佐藤さんがかけつけました。 3人とも状況を把握したようです。 夫の哲人が死んでいることに」
依頼人の涼子は話を止め、水を飲む。
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