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佐藤は続けた。

「やがて、良子様の悲鳴が聞こえました。 駆けつけて、3人とも焦っている様子で哲人様が生きていることを。 気づいたわたくしはとにかく、部屋を出るように促しました。 扉を少し開き、横目でみながら時間を稼ぎました。 哲人様は最後の力をふりしぼりながら、隠し部屋のエレベーターに乗ったのです。 血も拭きながらです。 わたくしは最後の頼みも守れませんでした。」

 佐藤は膝をつく。

「あんたは何も守ってなんかいない。 もっとひどくしただけだ。」

 木村は怒りながら、言う。

 宮田はめずらしいと思った。

 木村は普段、怒ることをしない。



 無事に事件は解決して、佐藤は逮捕された。

 涼子は最後に内密にせずに警察に話に行くことを選んだ。

 それを世間は知らない。 ただ、犯罪を隠すために時間稼ぎをしたと曲がって報道されている。

 キンブル財閥はマスコミに袋叩きにされている。 評判は悪い。

 ゆみが後の後継者となった。

 宮田はこれは大変そうだと感じた。



「なぁ、涼子は死んでいると判断したんだ?」

 宮田は訊く。

「錯覚したんだよ。 腹に刃物が刺さっていて、青白い顔だからな。 生活していて、経験するものじゃないからな。」

「そうか。」

 木村はソファーで新聞を読みながら、コーヒーを飲む。

 宮田は事務所を出る。

 今回の事件を世間に分からないようにした小説を持って出ていく。

 出版社へと歩いていく。

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消えた死体 めんどくさがり探偵 ナマケモノ @cola99

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