とても綺麗で、それでいて額にはめようとするとすり抜けていくような、不思議な景色の中に物語が広がっていました。雪が降る東京は深海にある。何か、何があったのか?そこにいる夏季と由紀は生き残り。どうやって?生態が変わった? シェルター? それとも沈む一瞬の走馬灯?夏季はどこへ向かうのか。柔らかで物悲しい世界に浸ることができました。
ストーリーと言うよりは、世界観を読むような作品。それも外に広がっていく世界ではなくて、内側へ落ち込んでいくような世界。一文字一文字に謎が施されている。それは私だったり僕だったり君だったり。彼ら(彼女ら?)が見ていた光は、多分願望なのだけれども、近寄ってしまえばそれはもう光などではなくて。この世界にある、漂う酸素に目を凝らして見てください。そこになにがあるのかは多分人によって変わるものだと思います。
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