魔女は何味?


 ――――魔女が砂糖の味をしていたことを、今でも覚えている。


「あ、あの……」


 何百年経った今でも、時折あの砂糖の味が恋しくなる。


 そして今日、魔女の屋敷にひとりの少女が訪れた。

 だからだろうか。余計に恋しくなって、あの甘さを求めている。


「いっらしゃい。

 ……ねえ、いきなりこんなことを聞くのは、あれなんだけど」

「はい、なんでしょう?」


 私はあの時の魔女の顔を、声を、思い出しながら、言葉にする。


「貴女はどんな味の魔女が好みかしら?」

「へ?」

「なんとなく、直感でいいから」


「そうですね。私は――――」



 こうして、特別製の魔女ができあがるのだった。

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魔女は砂糖の味がした。 聖願心理 @sinri4949

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