4頁

幾度かの慰問いもん

幾度とな 主の御言葉をかけ

幾度か目に やっと心を傾けた


の女性を前にして

その瞳から 賤しさなどは感じえず

全身からは 妬み恨みの荒さもなく


寧ろ 遠く臨み焦れる瞳には

乙女の頃の一途さが

全身には 愛情を湛えて


しかし その瞳の先には何もなく

その愛情は 向ける相手が誰もなく

ひたすら 幻を追って


彼の女性が 唯一 恐れるとしたら

それは 愛する者の不在

世間の好奇の目では 到底 図れるまい


永遠の救いようのない孤独に陥る前に

わたしは 司祭様とともに

また再び 彼の女性を訪れました

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る