お嬢様の眩い栗色の髪を結い上げて

白く　その穢れのないしなやかな首筋が

わたくしの心を締め付けるのです

何にも穢されたくないと

唯一　許されるとしたら

それは　真実の愛だけだと

わたくしに　何の躊躇（ためら）いがありましょう

わたくしは　身を摺り寄せ

あのお方は　隠すことなく情慾を剥き出しにし

しかし　わたくしは焦（じ）らすように身を引いて

そして　怯（おび）えながら囁いたのでございます

「待って　誰かあすこにいる」と

それは　些細な悪戯（いたずら）な心からです

無理矢理強いられた振りをしようと決めこんで

何処ぞの父親が　そんなお男に娘を嫁がせましょうや

まだ少しでも気骨があおりであったなら

しかし　あのお方は　どうしようもない臆病者なのです

あの方は　かたっとした物音だけに撃ってしまわれた

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