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お嬢様の美しいまでの誠実さは

勿忘草への誓いにございましょう

余りにも 早まった誓いにございます


旦那様は 知っておいでです

若い恋は 何をも恐れないことを

若い恋は 全てを壊す力があることを


旦那様は お嬢様を呼び寄せたのは

目の行き届くように

いよいよの その時に備えて


しかし 旦那様は お知りにならない

既に 恐れを知らないその恋が

お嬢様のお心を 占領なされてしまったことを


余りにも 早まった誓いにございましょう

やっと迎えた春の日に 芽吹いた矢先の可憐な花が

美しい花も咲かせず 堅くつぼませているなんて


わたくしが 風であったとしたら

優しく揺すって 懇願するでしょう

どうか わたくしの為に咲かせて下さいと

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