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お嬢様の 匂い立つ美しさを

誰が 見捨てておけましょう

誰が 見逃してしまいましょう


雲の風は 一片の花弁を撫でたいがため吹くのでしょう

降る雨は 一株の花を目がけて降るのでしょう

行く川の水は 一輪の花に触れたいがため行くのでしょう


粗野者は 荒れた心を道化で隠して

賢い学者様は 赤らむ頬を知識で覆って

貴族のご子息様は 爵位を着飾って


商人は 高価な贈り物を

詩人は 酔わす言葉を

貴族のご子息様は 権威を振舞われる


ただ一株の その一輪の たった一片でも

触れたいがため

気を引きたいがため


いいえ お嬢様のお心を どうして動かせましょう

既に咲き誇る 一房の勿忘草を

しかし 旦那様は野望を抱かれた

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