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お嬢様の 哀愁深い眼差しに
いち早く気が付かれたのは
こともあろうに 旦那様でした
奥様は 夢見がちな少女のままで
恋もそこそこ 早くにご結婚なされ
ご自分を飾るのに夢中でしたから
家庭教師の先生方も 他の使用人達も
何れの何方か 誰も知らず
わたくしは その名を勿忘草にそっと隠して
勘ぐる旦那様を 沈黙の頬笑みでかわし
お嬢様は 心のずっと奥底に
その勿忘草を お植えになってしまわれたのです
こうして お嬢様の初恋は終わったのです
消しようのない 面影を植え付けて
田舎での暮らしとともに
その頃でしょうか
奥様の気性が激しくなられたのは
大らかだった奥様が 変わられました
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