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水浅葱色みずあさぎいろしたお嬢様の瞳が揺れるのです

ゆらゆらと 惑うよう

許嫁とされようことを果敢はかなんで


お嬢様の澄んだ瞳は分かっておいでなのでしょう

そのお方から吐かれる言葉は 真実か

その贈られる真心は 本物か


夜の帳が下りた頃

繰り広げられる乱痴気騒ぎは

勿論 お嬢様にはご存知ありません


神々しいまでに褒め称えたその口で

遊び女どもを口説いているなど

口が裂けても申せません


しかし わたしくしは知ってしまったのです

それは偶然 ええ 初めは偶然

良からぬ噂を耳にしたのでございます


今思えば ぞっとするほど恐ろしいこと

しかし わたくしに何の迷いがありましょう

あのお方の 悪行全てを暴いてやろうと

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