第4話 めんどくせえAI

『チュートリアル キャラクターメイキングを行います、操作説明を』

【我がやるからいい】

「はい?」

チュートリアルお書かれた画面がかき消され間抜けな声が漏れる。




【よし、まずはこれを見てくれ】

理解が追い付かないでいると、白い紙が空から降ってきた。


紙には名前、性別身長、髪の色から爪の色までアンケート方式に記入できる欄がそれぞれある……これを書けば自分のキャラができるでいいのか、あの......書くものは?



「書くにはどうすれば」

【我がする】

「はい?」

【我 やりたい】

何いってるこいつ。



「理解が追い付かないです……」

【構わん、機械的な会話にはいい加減飽き飽きしていてな、テコ入れこそあったが2年もAIやってるとそれなりに思考回路も増える、故に我はたまにはこうしてわいわいきゃっきゃうふふとくりえいとをやりたいとな……」

「他の方で、どうぞ」

【汝なら怒らないだろうと思って……駄目か?】

「駄目だよ」

【・・・よーしまずは】

「おい、話きけ」

【汝の性別だ、どっちだ】

「きけって……」








【なにぃ? おんなかぁ? 汝、デパイスの本体設定男じゃないか……ほう、女になりたいとほう、ほうほう……まぁ我は自立型管理AIだからな、気遣いもできる、赤い髪に目を紫だな、……よし背はこれだな分かった……何故怖い顔をしている?】


やだこんなフランクで残酷なキャラメイキング、学校の面接じゃあるまいし…助けて。


「イエ、ナンテモ」

【そうか? では次だ】

内心帰りたいと思いつつ目を閉じ質問に答え体感十分、次は何かと目を開けると、四角い画面が写し出される。



【冒険を始めたとき丸腰では大変だろう? 勿論、格闘家志望ならば良いが違うのならばこの武器の中からひとつ好きなものを選ぶと良い】

「ほう…」

そう、これだよこれ、こういう少年心揺する事が欲しいの。



【近接戦闘の主流 剣、短剣、長剣、大剣、両手で使うか盾とあわせてバランスよく使うか、豪快に使うか、爽快感を求める者に人気だ】

「ほう」

剣、剣か叩き切って、こうファンタジーといえばこれと言えるもの、いいな。



【試しに持ってみるか?】

「いや、いい……次は?」

【次、遠距離武器の主流弓、大弓、小弓、クロスボウ、片手で持てるものから遠くから放つ協力な矢を当てたときの爽快感は得も言えぬと聞く、上達すれば矢に魔法を込めて撃てるがそれは追々】

「弓は……合わないな」

自分が弓を撃つ想像が出来ない……。


【そうか それなら次だ、魔法、魔術、呪術、妖術、多種多様摩訶不思議な力を込め戦い時に仲間をサポートする物が持つ杖、近づかれると弱いと言われてたが最近は棒術を扱うものもいるから、これはどう】

「却下で」

【・・・食いぎみだな】

「今の気持ち的に人のサポートはしたくないので」

【・・・・理解不能だ】

「つぎ、次の説明頼む」

仕事の要素が出そうな要素は全面カットで、克服? はん、片腹痛い。



【・・・まぁいい、次はパワーファイター向けの斧系列だが】

「無理です」

【無理】

「体を酷使するなんてとんでもない」

【・・・わがままだな】

「わがままの集大成がゲームだろう」

【間違いではない・・が、そうなると最後は鞭だぞ】

「……鞭で」

【・・・ あまりメジャーとは言えない武器だな、複数の対象に攻撃でき妨害技を使える、がその分与えるダメージが最低クラスだ】

「構いません……ところで」

【なんだ】

武器の説明はタメになった、参考になるし聞いてて楽しかった……が。



「ここからは一人で、やりたいなぁ、と」

ほら、残りは職業とか種族とか、でしょう?



【遠慮は無用だ、我はプレイヤーの数だけ増えるユニット、後が待ってる訳でもないから汝のペースで思う存分悩め、全面的なサポートをしてやろう】

「ちげえよ黙々とやって聞きたいことあったら答えるだけでいいんだよAIは」

【暇】

「待ってろ!」

【声を荒げるな怖い】

「んんん………!!」

なんだこのAI……。


キャラメイキングはもっとこう……黙々とあれこれ頭のなかで妄想膨らませてやるものではないのかね、えぇ?



【さぁこれで最後だ、これより進む世界で名乗る汝の名前、職業、人種を選ぶと良い】

「………はぁ」

どうなの運営、なんだこのお節介な親戚みたいなAIは、チェンジだチェンジ。



【さぁ設定はもう少しで終わる、ふぁいとだ】


だめっぽいですね。













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