仕事に生きるのに疲れたからゲームするぜ(´・ω・`キリ) ~願望と妄想もりもりでやったら変な目で見られたけどしーらない~

三代目五右衛門豆腐の介

第1話 めんどくせえ会社をやめました(*´∇`*)

「この書類、明日の会議で使うからまとめてね」

ペン入れを押し退けデスクの隅に置かれた紙の束。


その束を置いた本人は。


「……部長」

「遅くなるだろうけどごめんね、じゃ」

にっこりと、反論を許さなぬ笑顔で、踵を返して部長は行ってしまった。






「……畏まりました」

勤務二年のサラリーマンの辞書に反論と言う文字は存在しない。



定時のチャイムが鳴ったフロア内で鞄を持ち帰る同僚達を見送り、俺は書類手に取った。





「会社のホームページを作ろうと思うんだけど良かったら簡単に作ってくれない?」

……どうやって作るんですか? 無理だろ。


「畏まりました」

仕方ない、調べるか。




「この書類、抜けてる所があったんだけど君が作ったものだよね?」

違います、部長が作ったものです。


「いい加減新人気分から抜けてくれないと困るよ~」

「……申し訳ありません」

これくらい、我慢すれば良いか。



「今日飲み会があるから」

は? 初耳なんですけど。

「はい」

その手はなんですか? 部長。


「会費五千円」

あぁ、なるほど。


「お金降ろしてきますね」

「それじゃ後で貰うね、あ、これ会議で必要だから百部くらい印刷しといて」

はいはい。


「畏まりました」





「この前出した企画書が好評でね、ボーナスが出そうなんだよ」

へー良かったですね。


「明日休日だし皆で飲みに行こう!」

……嫌だなあ。


「畏まりました」


「取引先とゴルフに行くんだけど君明日暇だろ? ついてきてくれ」

サイト立ち上げの勉強とメンテナンスがあるんですけど。


「……畏まりました、お供します」



「この前作ったホームページ、季節によって背景変えたら面白いよね、やって」

畏まりました。



「ちょっと大変だからお茶淹れてきて、全員分」

畏まりました。


「僕休憩行くからこれやっといて」

畏まりました。


「このまえ提出した書類が凄く丁寧に詳細に書かれて読みやすいと好評でね、誉められると嬉しいよね~」

なぜ部長が喜んでるのか分からないが俺が書いたものが良い出来だったらしい。


「おめでとうございます」




大手に入社して、お金貯めて悠々自適暮らす、そんな夢を持って始めた仕事だというのに、なんだこれは。


「ん? 顔色悪いが体調でも悪いのかい? 困るよ、体調管理は社会人の基本だよ~」

「気を付けます」


面白くないし、睡眠が取れず、プライベートもなく、金もそこまで貯まらず、出世もない。


あるのは一年先輩の部長の笑顔、頭がいてえ。



「おい!」

今日はなんですか部長、そんな顔真っ赤にして、新人が怖がってますよ。


「なんだこの誤字は!! 大事な会議に使うと言ったじゃないかね!!」

初耳ですけど。


まぁいいや、申し訳ありませんでした。


「四年もここで働いて一体君は何を学んで来たのだね、この給料泥棒が!!」

申し訳ありません。



「別に君がいなくてもここは回るんだよ? 何時でも辞めて貰って良いんだからね!? 」

「はぁ……」

「なんだね返事は! 」

「申し訳ありません」

ガミガミガミガミ、フロアの中央で良く吠える。


何て言ってるのか正直どうでも良いが、なに? 辞めていい?


ふうん?



「分かったらこの書類の印刷を」

「分かりました」

「は?」


部長以外は居心地がいいこの職場、最近は何を食べても何も感じなかった食堂。


少し愛着の沸いていたデスク。


年々重くなる腰と頭に痛みと部長を天秤にかけた。






「いままでありがとうございました、今月限りで辞めさせて頂きます」

「………はぁ?!」

さて、引き継ぎ作業を始めるか










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