第14話 忘れていたわけじゃないさ!!
『大型アップデート開催! さああなたもフリーダムリアルオンラインの世界へ! 』
「へえ、そんなゲームもあるんだな、にほんも進んだねえ」
20代そこらの口から本来でない言葉を吐きつつ、淹れたてのお茶を一口、うめえ。
にしてもゲームかあ、最近してないなあ、なにかゲーム買おうかなあ。
いやでも新しいものに手を出すのってメンタル使うからなあ、フリーダムオンラインなあ……買おうかなあ、いくらだろうなあ、めんどいなあ……いやでもなんか聞いた事、なんだ、なにか忘れてるぞ俺、ん? んんん……? あ、ああ~!!
「そういえば買ってたやん自分、シンプル忘れてたわ」
最終ログインから二週間、アップデートに二時間、特にやる気の起きなかったゲームライフ、再開である、
『ログインボーナスを獲得しました、プレゼントボックスに送ります』
「よいっしょと、ふう、おいっちに、おいっちに」
特に疲れたとかそういうのは無い、けどなんかやりたくなるストレッチ、どうやらゲームの世界に入ってからも変わらないらしい、じじいだな俺……さて、ここはどこだ、川だ。
たくさんの砂利、流れる浅い川と、その川の向かうに見える大きな樹林、遠くに見える山々、澄みわたる青空、聞こえるせせらぎ。
「ガフウ」
何かの吐息……ん? なにかのといき?
「ん? 」
「ガウ」
なにかのといき。
【はぐれオーク】
おう、熊みたいオークが後ろにいるではないか。
……敵? いや、つぶらな瞳してるゆつに悪いやつはいない、からだ熊だけどつぶらだ。
「……ガフ? 」
「……」
「ウガ」
「誰だねちみは」
「ガ!? 」
何故びっくりしてるのか、私にはわからない、2週間前の自分は一体何をしていたのやら。
はて、こんなオークと知り合うというかこんなことになる事なんてそんな……、あん? なんか 思いだしそうな、んん……あ、そうだ。
「へいAI このオークはだれ」
『前回ログイン時テイムしたモンスターです』
「なるほどねー……なるほどお? んんー? 」
「ガウ」
「なぜ私はテイムをした……? 」
「ガー」
「もふでも可愛くもないこのオークを何故……」
二週間、単語だけなら割とそうでもないと感じるがなんてったて自分はあれだ、常に思考の七割がエコモードになっているのだ、昨日食べたものはおろか数分前にしようとしたことも忘れかけるそしてなにより、悩むことにめんどくささを感じている。
はあ。
「まあいいや、そのうち愛着沸くでしょ……おいでオークちゃん、ウロウロするよ」
「ウガ」
ちょいちょいっと手招きすればのしのしとこっちに来たオークちゃん、上半身裸、黒よりの褐色のイノシシ……。
もっとこう、なんか……なんだ、文句じゃなくて要望がでてくるな、つまりは不毛な妄想、ふむ。
まあいいや、散歩よ散歩、おいでイノシシ。
……名前決めないと大変だな。
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