第12話 通算ログイン1ヶ月 ボーナス貪るプレイヤー 立ち上がる
『もしもしレオにゃんさん! お久しぶりですレーナですー』
『あ、どもー』
えーとたしか、たしか、ピンク髪の弓振り回してた子、だったけ。
そんな彼女から突然連絡、というかゲーム内のフレンド経由でなんかきたのだ、なんか、なんだこれは、ゲーム内で電話だと? ……こわあ
『いまわたし海の町にいるんですけどレオにゃんさん近かったらよければ遊びませんか?』
うみ? み? ん?
『え、あー、そう、ですね』
『あれ、もしかして王城の場所です? のんびりしてたらそうなりますよねー』
おう、じょう。
『ん、んんー、どうでしょう、かね』
『あ、はじまりの町、、 』
『あの、平原に 』
『え? 』
『はじまりの平原にいます』
『え? ……え? 』
『はじまりの平原の森のとこにいますねー』
『あ、ぁー、なる、ほど』
あらやだぁ、レーナさんが困ってる。
初めてレーナさんとあったのが、、、1ヶ月前。
そう、そうなのだ、1ヶ月、ログインして平原の岩の上に座ってボケーッと空眺めて昼寝してログアウトして惰眠惰食を繰り返して、、、はは?
「……さて」
苦笑いのレーナさんとの通話を終えた自分の胸にあるこのもやもやした感情はなに、、、恋? いいえ羞恥心てす。
「ちょっと動くか……」
ログインボーナスをただ貪り、ログイン勢防止策を突破して、そろそろ、そろそろなにかしてみるか、と気分がのったのである、そう、大事なのは気分、楽しくなるかもという期待、それこそがロマン……ロマンってなんだっけ。
★★★
【レオにゃん】
職業「テイマー」
レベル4
STR 3
INT 4
DEX 0
AGI 1
DEF 1
VIT 10
【保有スキル】
テイミング
モンスター強化
「スピードアシスト」
「パワーアシスト」
「プロテクトアシスト」
【装備】
「馬用鞭」
「布製服」
「布製ズボン」
【称号】
ただの怠惰 冒険者
★★★
「ホップ、ステップ、なんちゃらら、なんちゃらら、なんちゃら、ららら……ら……ふう」
多分このゲーム始めてから最長距離歩いてる気が、あ、レーナさんと遊んだときのほうが歩いてるかも。
平原をただ進むのはつまらない、ボーッとするのは楽しいけど散歩にはよくない。
……はらへった(・ω・)
おっかしいな、ゲーム始める前にカップ麺食べたんだけどなぁ。
どうしよう、散歩とかどうでも良くなってきちゃった、美味しいものでお腹満たしたい。
贅沢を言えば刺身を……いや焼き魚、煮魚食べたいなー、後でコンビニいこ。
「……どっか川ないかなー」
魚と言えば川、川と言えば魚。
魚と川と言えば……クマ。
デフォルトのマップを開いてのんびりテクテクと歩いた先に、クマ。
「あーらぁー……」
入る気の起きない森に滝があるらしくて、そこから流れてくる川に等身大のクマがノシノシと、魚をウォッチングしていましてよ、奥様。
【野生の熊 レベル30】
「あーらぁ……」
2メートル以上の体を川のなかに突っ込ませて狩りを行う姿のなんと野生の雄々しさを……、こわあい。
「……ゲームで良かったわ」
こちらから手を出さなきゃ叩かれない、なんと素晴らしきこと。
戦士職でも魔法職でもないし戦闘意欲ゼロの三拍子、むりむりむり。
あ、そうだ。
「へいAI、あのクマさんテイムは可? 」
【不可 魔物、魔獣であれば可】
「そっかー」
そろそろペットほしいなあ、可愛いのとかかっこいいのとか、狼さんとかもふもふしてえなー。
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