第7話 めんどくせえ確認


初心者応援ログインボーナス、金貨10枚とバッグ容量拡張パック……。



「……バッグに容量あるんだ」

『一つの消費アイテムを最大ワンストック99として、通常バッグは30枠分収納することができます』

「拡張パック使うと?」

『30枠から35枠に増やすことが可能です』

「……しょっぱいなぁ」

まぁやるけどここをタッチして、YESかNO……YESだ。




よし! .....疲れた。


「どっこい、しょ……!」

人って疲れ切ると見た目も中身も老けるよね、動き一つ一つが色々と重い。



週間ログイン報酬は中級のポーション3つと面白味のないものだからこれはバッグに放り込む。


「……さて」

ずっと同じ場所で体育座りも心の底では良いが、新たな景色を味わおうと動き始める自分。


偉かった。



うっそうとした森に目視だけでは見渡し切れない平原、その先にある初心者の町、とっても冒険心がうずくね。


大方森には強いモンスターが生息していて物語後半に訪れる.....王道だねぇ、好きだよそういうの。


まぁ、気持ちで言えばこんなもん、問題がここから。


心はいまだ少年だと自負する自分だがそれを行動に移すスタミナだけはじじい。


動いたよ? 動きましたとま、 10メートル~。


動きたくない心と動かないとヤバイ焦りが戦った結果歩いたよ、地に足つけてきれいなフォームで進みましたよ、大体二十歩くらい。



慎んで自分を誉めちぎろう。


「うむ、自分偉い……最高」

今の自分に必要なのは自分や誰かに誉める事、誉めておだてて自画自賛、イエスハッピーノットアンハッピー。


ということで自分、偉い、ちょー偉い。


「あ! あの.....! そこのかた」

ゲームにログイン出来て10メートルも歩けたんだもの称賛されても良いよな!


まず息してるだけで偉いよ、うんうん......ん?


なんか女性の声が……。


鈴を転がしたような声に目を開けてみれば、なんとピンク髪の少女がいるではないか。


「す、すいません......今忙しいです…?」

「......私か?」

「はい! 」

自分を指指し確認すればピンク髪の少女は何度も頷き、満面の笑顔で胸に手を当て息を吐く。


「お返事くれないかと思いました」

「あ、あぁすまん、ボーッとしてた」

初プレイヤー、だな。


「いえいえ、大丈夫です!」

「はははは......」

......初めてのプレイヤー遭遇やぞ。

こんなんでいいのか、おい。


「それで、え~......」

名前は~、頭の上に、あった。


「ミーナ......さん?」

「はい! お気軽にミーナと呼んでください!」

か、輝く笑顔......! おじさんこういうの弱いの! ......二十歳だけど!


「そ、それじゃあお、私もレオにゃんと......」

「ありがとうございます! 」

「それで、私になにか?」

この子の圧に押されていたが、問題はそこだ。

艶々なピンクのふわふわカールの髪に自分より少し低い身長。


手には腕の長さの弓と......運営に支給された冒険者キッド一式。


着たのか......馬を。


「私今日始めたばかりの初心者なんですけど、まだ何もわからなくって 」

「私も初心者です、何がなんだか全然わかんないですよねー」

「そうなんですよ~、仕様は覚えたんですけどモンスターとか町とか全然わからなくって...... 良かったらパーティー組みませんかっ?」

パーティー.....。


「二人で?」

「はい! レオにゃんさんさえよければですが......」

もじもじと恥ずかしそうに言った彼女に少し考える。


「ふむ......」

そうだな......。


オンラインやっておきながらなんだけど正直人と接しず黙々とソロプレイしようかなとテイマーになったけど......。


まぁ、いうて初心者だし? 慣れてからすればいいし色々経験した方がいいよね。


「私も初心者で上手くないですが......喜んで」

「やったー! それでは....はい! パーティー申請しました!」

『プレイヤーミーナからパーティー申請が来ました、承認しますか?』

「YES~」

『プレイヤーレオにゃんはプレイヤーミーナのパーティーに加入しました』


「やったぁ! よろしくお願いします~! あ、握手しましょ! 握手! 」

「あ、はいはいよろしく~」

手を差し勢いのあるミーナにつられて自分も手を出し熱い握手を交わす。



とにかく、今日はボーッと空眺めずにできそうだ、よしよし。



ところで可愛い女の子の笑顔ってほんと癒されるよね、萎みきったじじいの骨身に染みる。






で、ここから歩くのか? えぇ……。



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