概要
それから50年後。佐柄竜善の最期の作品を前に、老婆は泣き崩れていた。手に佐柄からの手紙を握りしめて。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!それぞれの思いが重なって
あなたは、どんな物語に感動しますか? どんな内容に心を動かされるでしょうか?
磨かれた綺麗な文章? 考え抜かれた舞台装置? 思いもよらない展開でしょうか?
もちろんそれらにも感動しますが、僕は特に登場人物達の思いに触れた時に感動します。やはり物語を構成する大きな要素の一つは人の思いなのだと思います。
空草 うつをさんの『千寿菊と散る』はその思いの集合体です。そこには、愛情があり、嫉妬があり、絶望もあるでしょう。それら全てが、思いなのです。
僕は読み終わったあと「恋心はどこまでも普遍で、どこまでも愚かで、だからこそ美しいんだな」と思いました。
次はあなたが読んで感じてみて下さい。そし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!マリーゴールドの花言葉。
有名画家が、絵を描かなくなった。それを知った美大の同級生の主人公は、同級生名簿を取り出して、画家に電話をかける。主人公は、密かに画家に思いを寄せていたのだ。しかし、画家は大学時代から絵のモデルをしていた美女と結婚していた。
電話に出たのは、画家本人だった。画家は四年前に両親を亡くし、あることがきっかけで、妻と別れていた。そのあることとは、妻が旅行に行っている際に、画家のもとを訪ねてきた美しい少女を、絵のモデルとしたことだった。モデルを務めていた妻はこの少女に嫉妬し、夫に激昂し、家を出て行ったと言うのだ。
そして画家が亡くなり、美術展で画家の遺作が発表された。そこにはマリーゴールドの花と…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひとりの画家を巡る女たちの美しくも恐ろしい想い
ひとりの天才画家が、画家を辞めるという宣言から物語が始まります。
彼を巡る女性たちの遠い恋の思い出のしっとりした物語かと思いきや、美しい妻だけを描いてきた彼が、突然現れた謎の女性に心惹かれてしまったことから謎が謎を呼ぶ展開に……。
なんと言っても登場する女性たちの描写の美しいことと言ったら……!
それに引き込まれる画家の情念のようなものが、鮮やかに胸を打ちます。
そして、最後には驚くべき告白が——。
美しい描写と女性たちのなんとも言えない妖しい魅力の詰まった作品でした。
ぜひ、この美しい世界に浸ってみていただきたい一作です。