3分間の、ヒヤリ、ぞくり――これだから短編は面白い。

1行目を読み始めてすぐに、時間の流れが変わりました。
焦るがゆえに、心の内のスピードと周囲のスピードがちぐはぐになっていく覚束なさが、ヒヤリ、ぞくり――と、日本ならではのじっとりとした怖さを加速させます。
読み終わった後、現実に戻って来た…とハッとしました。
武蔵の野にいるという「沼すべり」に、私もきっと、1行目を読んだ瞬間から出会ってしまったのでしょうね。

ホラーの名手による短編です。
文句なしに面白いです。

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