第14話モゴモゴモゴッ。

『なんで...私たちがもう一人いるんだよ....。』

「わ、わかんない」


もう一人の私たちがこっちを見ながら、なにかをつぶやいている。

しかし、何を言っているのかが全く聞こえない。


『お前らは何者なんだ!』


ビュオオオオッ。

話かけた瞬間、目を開けられないほどの土埃が舞う。


「目がぁぁ!痛いよぉおおお!しみるぅぅぅ!」

『ううっ...。』


すぐにその土埃はおさまったが、もう一人のわたしたちの姿も消えてしまっていた。


『なんだったんだ?いったい。』

「ドッペルゲンガーなのかもしれないねぇ。」


ドッペルゲンガー。

この世には自分と同じ姿の人間が3人いる、とかいう迷信か...。

たしか、そいつと出会ったら死ぬんだったよな。


『縁起でもないこと言うなよ。』

「えっ!チヨちゃん。まさかぁ~ビビってるのぉぉ~。」

『...。うるさい。』

「あははははっ。」

『....。なんだよ。』

「相変わらずホラー苦手なんだぁ~。」

『.....。別にいいだろ。』

「そう言えば、修学旅行の時に行ったお化け屋敷でも、一人だけヒエーッてさけんでたよねぇ!あははははっ。」

『......。』

「あはははは...はは...。」

『....。』

「じょ、冗談だよぉ!」

『....。』

「ごめんねぇ。だから無言で近づいてくるのやめてぇ。」

『....。』

「な、なんで拳ふりあげてるの?ごめんって言ったじゃん!謝ったじゃん!許してよぉ!」


ドカッ


「いたいよぉぉ!ひどい。うえぇぇぇん。」


鉄拳制裁。




「ううっ。グスン.....むむっ!あそこになにか変なものが、落ちているよぉ!」

『調子のいい奴だな。....でも話を逸らそうとしても無駄だだぞ。』

「ほ、本当だって!見てみてよ。」


仕方なく、ミウが指さす方向を見てみる。


確かに、なんか変なものが落ちている。

あそこは、もう一人のわたしたちが立っていたところだよな。

だとすると、あれはあいつらの落とし物なのか?

『一応、拾ってみるか...。』



「すごおおおい!レンズがたくさんついているねぇ。最新のカメラなのかなぁ?ほしいいい」

『最新モデルのカメラにしては、少し重すぎないか?』


ぴかーーーん


『なんか光った!!どうなってんだ?』

「壊したんじゃないのぉ~?」


光が徐々に点滅していく。

そして、煙がもくもくとでてきた。


「すごいねぇ!」

『呑気に感想を述べている場合じゃないと思うぞ!?...周囲を見てみろ。』

「大げさだなぁ。...........な、なんかモクモクで周りが覆われてる...。どうなってんのぉ!またピンチなのぉ!いやだよぉぉ!」


これはいったい....。


ブウン


いきなり、私たちの目の前に大きなホログラム状の画面が出現した。

「おおっ!かっこいい。」

ミウの目がキラキラ輝く。


【再生しますか?】

機械音声?

こんな怪しげなものには答えない方が

「再生して!!」

【了解しました。】




『おい!なにやってんだぁ!』

「えっ!またなにかやったの私?なんで!なんなの!?そんなにわたしが悪いのぉ?うえぇぇぇん!うわあああん!」

『お、落ち着け。』

「もっと優しくしてよぉ!」




【再生するので静かにしてください。】

「機械まで、私のことを責めてくるぅぅ!うえぇぇぇん。」




さっき拾ったカメラみたいなやつから、ロボットアームが生えてくる。

そしてミウの口をガムテープでとめてしまった。

「モゴモゴモゴ。」

『なにしやがる!』




【すみません。ですが私には、「この映像をあなた方になんとしてでも“正確に”見せる」という使命がありますので、許してください。】

「モゴモゴモゴ....」


【...再生開始します。】

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