第6話ゲームという名の戦場

プルルルルル。プルルルルル。(電話の音)

うっ....。眠い。なんだ?休日の朝早くから誰だ?

ガチャリ。(電話に出る音)

「おっ!やっと出た!おはよう。チヨちゃん。」

『この声は....。ミウか。どうした?何かあったのか?』

「12時にゲームセンターに集合!一緒にあそぼぉー。」

そんなしょうもない理由で、私は起こされたのか?

ガチャン。(電話を切る音)

プルルルルル。プルルルルル。プルルルルル。プルルルルル。

ガチャリ。

「なんで切るの!?ひどいよぉ~。」

『ひどいよぉ~。じゃねぇんだよ。今何時だと思う?4時だぞ!?午前4時!時間をわきまえろ!』

「何言ってんのぉ~?今は9時ぐらいだよぉ。」

『お前の時計が狂ってんじゃないのか?』

時計が狂っていなかったら、ミウが狂っているってことになるが....。まあいつも狂っているみたいなもんか。

「そんなはずは....あ、あれ?ほんとだ!テレビつけたら4時05分って書いてある。ごめんねぇ....。」

『はぁ....。本当にすまないと思ってるなら、今度パフェをおごれ。それで許してやる。』

「わ、わかったよ...。じゃあ、ゲームセンターで会おうね!バイバイ。」

『おい!待て!まだ行くと決まったわけじゃ...。』

ブチッ。ツーッツーッツーッ。

だから、話を最後まで聞けよ!!

~~~~~12時~~~~~

ガチャンガチャン。ザワザワザワ。ガコン。ガコン。

『ここは相変わらず、騒がしいところだな。』

「ゲームセンターってそんなもんだからねぇ。なんのゲームする?」

『パンチングマシーンがやりたい。』

「よし!じゃあやろうか!負けないぞぉー。」


バシーーン

「私のパンチの威力3万点だぁ!!やったぁ!」

『じゃあ次は私の番か...。よいしょっと。』

「....チヨちゃん。なんで殴るところに私の顔写真貼ってるのぉ?」

『お前に対してのイライラをここで晴らそうと思って。』

「そ、そんなぁ。」

『おらあああああ!!』

バコーーーン!!

「ぎゃああああ!チヨちゃんやめてぇ。」

『いつも迷惑かけやがってぇええ。』

バシーーーン!!

「うわあああん。ひどいよお。」

『これは私の分!』

バシーーーン!!

『これは田中の分!』

バシーーーン!!

『そして.....これはァ!!....世界の分!!!』

バッコオオオオン!!

「いやああああ!!そんな...。私の....私の顔がぁ....。」

『ふうっ。すっきりした!!案外たのしいな。ミウ!次はレースゲームやろう!』

「こうなったら、ゲームでチヨちゃんをボコボコにしてやるぅー!!」

『ミウが勝てるわけないだろ?』

「甘い、甘すぎるよぉ!チヨちゃん。レースゲームは私の十八番(おはこ)。負けるはずがないんだよぉ!!!」


「なんで私が負けるんだよぉぉ~!」

『ミウが弱すぎるからじゃないか?』

「チートだよ!チート!裁判に訴えてやる!」

『訳分からないこと言ってないで、次のゲームやるぞ。』

「じゃあ次のゲームは私が決めていいかなぁ?」

『いいよ。どんなゲームでも勝てるから。』


「このゲームで勝負だ!」

『これは、シューティングゲームってやつだな。うっ...。よりによって敵がゾンビなのか...。』

「そうだよぉ。怖いのぉ?逃げてもいいけど、私の勝ちってことになるよぉ。」

コイツ...。私がホラー系きらいなのを知っていてわざと...。

『やってやろうじゃないか!』

「でもただ普通にやるだけじゃ、面白くないからこれを使うよぉ~。このゴーグルかけてみて!」

『ゴーグル?なんのために....。』

ゴーグルをはめた途端に、周りの景色が廃屋になる

『あ、あれ?ここどこなんだ?ミウ。』

「ここはゲームの中だよ!」

『なんでゲームの中に入ってるんだよ!!』

「今流行の仮想現実だよぉ。」

ってことはゾンビから襲われるってことだよな。そんなの勘弁してほしい!

「あとそのゴーグル、クリアするかゲームオーバーになるまで外れないから☆」

『まじかよおおお。』

「チヨちゃん!ゾンビが来るよ!スキルと銃を駆使して戦わないと!」

【ウボアアアッァァ。キシャアアァァ。】

『うわあああ。リアルすぎだろぉぉぉ。』

「逃げてばっかじゃ勝負にならないよぉ!」

『あとで覚えてろよ!ミウ!』


「なんとか最終ステージまで来れたねぇ。」

『もうはやく終わってくれ...。』

【来たか...。愚かなニンゲン共よ...。】

「ラスボスだぁ!!こいつは知能が残ったままゾンビになっているから、もの凄く手強いんだぁ。」

【チヨ。ミウ。よくも多くの同胞たちを殺してくれたな....。】

『なんで私たちの名前知ってんだよ?ていうかゲーム進行上で、こんなセリフあるのか?』

「わ、わかんない。」

【まだ気づかないか?お前たちが今やっているのは、ゲームというお粗末なものではない!純粋な、殺し合いだ。お前たちがここで死ねば、現実世界のお前たちも死ぬ。フフフッ。愉快だろ?】

『なん....だと....。』

「チヨちゃん!しっかりして!脱出ポイントまで行けば、逃げられるよ!」

【逃げてもいいぞ。まあそうすれば、現実世界のニンゲン共は全員死ぬことになるがな。】

『どういうことだ?』

【我々が、現実世界に行って、直接ニンゲンを滅ぼすということだ。】

「そ、そんなぁ。」

『マジかよ!コイツ...現実世界にも行けんのかよ!』

【おしゃべりはここまでだ。くらえ。デス・バレット(死の弾丸)。】

ドンッ

私に向かって銃弾が飛んでくる。弾速は目で追えるほどだが、恐怖で足が動かない。

ここで死ぬのか?ミウ!お前だけでも...逃げろ。

「チヨちゃんッ!危ないぁああい!」

ドスッ


あ、あれ?生きてる。痛みもない。当たったはずなんだけどな...。

「チヨ....ちゃん。だい....じょう...ぶ?」

『なんとかなったみたいだ。ミウ!一旦逃げ....。』

ミウが血だらけになって倒れている。

なぜだ?どうして?かばったのか?この血の量、助かるのか?助からないとしたら、それはミウが――死....。

一瞬、なにも考えられなくなった。






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