第7話わたしの親友

『おい!ミウ!大丈夫か!?』

「ごめ...ん。もう...だめみたい。」

ミウの顔が青くなってきている。

『何....言ってんだ!このぐらいすぐ治る。大丈夫だ。』

「めいわくかけて....ごめんね。チヨ....ちゃんだけでも...逃げて。」

『また迷惑かけていいからさ。そんなこと言うなよ。』

「.....。」

『ミウ!返事しろよ!』

【たった一発で息絶えるとは面白みに欠けるな。】

『そんな...。置いていかないで。いやだぁぁぁ。』


シューーーーーー

いきなり、ミウの体から白い蒸気が吹き出してきた。

『なんだ。この蒸気は....。』

次第に吹き出す蒸気の量が多くなっていき、ミウの体はおろか周りの景色すらも見えなくなっていった。

「うおおおおおおおおっ!!!」

この声は....ミウの声?

『ミウ!生きてたのか!』

「生き生きしてるよぉ。」

『蒸気でお前の姿が見えないな。』

「大丈夫。もうすぐ視界がよくなるよぉ。」

おっ!本当だ。視界が開けてきた。ミウのものと思われるシルエットが見えてくる。でもなんか、ミウのシルエットにしては大きいような....。

『よし!一旦逃げるぞ!』

「その必要はないよ。」


蒸気の中から現れたのは、ミウではなく筋肉ムキムキのおっさんだった。

『なに言ってんだ!....っていうかお前だれだよ!』

「ひどいなぁ。親友の顔を覚えてないなんてぇ。」

親友だと?そう言えば、なんかこのおっさんに見覚えがあるような....。ああそうだ!以前ミウがおっさんになった時の姿じゃないか!

『なんでその姿になってるんだよ....。傷は大丈夫なのか?』

「この姿になったら、急に傷がなくなったんだぁ。」

【貴様!何者だ!戦闘力20万だと!?ありえん....。】

「じゃあ戦いの続きを始めようかぁ。」

【調子にのるなぁあああああ!クソッ。こうなったらあの最強の技をやるしかないな.....。】

「何をやっても無駄だと思うよぉ。」

【だまれ!食らうがいい。我が必殺の一撃.....デスビーム!!】

「うおおおおおおっ!か~め~は~め~波ぁああああああ。」

『その技はいろいろとヤバいやつなんじゃないかぁぁぁ!』

ピカァアアアアアッ。辺りが光に包まれていく。


『ここは....ゲームセンターの中か?戻ってこられたのか?』

「そうみたいだねぇ。たすかったぁ。」

『なんでその姿になったんだ?』

「うーん。わかんない!..........チヨちゃん。また巻き込んじゃってごめんねぇ。」

『ほんとだよ。もういい。帰るぞ。』

「う、うん。」


夕日を浴びながら帰り道を歩く。

「チヨちゃん。いつもみたいに怒らないの?私のせいで、世界が滅びかけたんだよぉ?」

『...........。』

「チヨちゃん。どうしたの?」

『ミウ。かばってくれてありがとな。でも金輪際、かばうことだけはやめてくれ。それで、ミウが死んじゃったら嫌だしな。』

「私が招いた事態だったし....チヨちゃんにはめいわくかけたくなかったからぁ....。」

『めいわくかけてもいいんだよ。お前は私の親友だから...。』

「今なんて言ったのぉ?声小さすぎだよぉ。チヨちゃん。」

『なんでもない!そうだ。パフェおごる約束だったよな。今から行こう!』

「もう夕方だよぉ。明日にしようよぉ~。」

『いいから行くぞ!』

「強引だなぁ。チヨちゃんは....。」


この後、筋肉ムキムキのおっさんの姿をしたミウとパフェ専門店に行ってしまい、その店の世界観をまたぶち壊してしまったことは言うまでもない。








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