第5話慈善活動で滅びかける世界
『そういえば、部活の名前”ゴミでも磨けば価値が出る部”だったよな?』
「うん。そうだよ。」
『未だにゴミ関係の活動してないよな?(お前が作ったものがゴミだというのならまだしも)』
「まあ今後もそんな活動するつもりなんてないけどねぇ~。」
『じゃあなんでそんな部活名にしたんだよ。もっとマシな名前あるだろ?研究部とか開発部みたいなさ。』
「これは戦略だよ。」
『戦略?」
「うん。そうだよ....。この学校で一番偉いのは誰だと思う?」
『唐突だな...。校長か?』
「ベリーグッドアンサー!そうだよ!校長だよ!つまり、校長に気に入られれば私たちは絶大な権力を得られるということなんだよ!」
『権力って....。それと部活の名前とどう関係があるんだ?』
「大ありだよ!ゴミでも磨けば価値が出る部というボランティア系の部活っぽい名前にすることによって、私たちが慈善活動をしていると校長に思い込ませることができその結果、校長に気に入られるという戦略なんだよ!現に私たちの顧問になってくれているってことは、気に入ったってことなんじゃないかな。」
『なんだよそれ....。つまり名前自体に意味はないということか?』
「うん。そうだよ。」
なんで校長はこんなばかげた部活の顧問になることを引き受けてくれたのだろうか?
『でもこの前校長を縄で縛ったり、薬ぶっかけたりしたから私たち嫌われてるんじゃないか?』
「この前のことは記憶にないと思うよぉ。田中もあのときのこと覚えてなさそうだったし。」
『それはよかった。』
校長に刺股を使ったことがばれたら、退学になりそうだからな。
ピーンポーンパーンポーン♪(放送)
【至急、ゴミでも磨けば価値が出る部に所属している生徒は校長室に来なさい。繰り返します。至急、ゴミでも磨けば価値が出る部に所属している生徒は校長室に来なさい。】
『お、おい。なんか校長から、呼び出し食らってるぞ。』
「ほんとだ!うーん。でもなんで呼び出されるんだろ。心辺りなんてないけどなぁ。」
心辺りしかないだろ。
『この前のこと覚えているんじゃないか?』
「覚えてる訳ないんだけどなぁ。」
~~~~~校長室~~~~~
『何の用ですか?』
「顧問として、あなたたちにお願いがあります。」
『どんなお願いですか?』
「君たちに植上海岸の掃除を頼みたいのです。あの海岸は、海流の影響で漂流物がよく打ち上げられています。そのせいで、ゴミ溜めになってしまっているのです。私が若かりし頃に、遊んでいた海岸がそのようになっているのは、悲しいことです。どうか、お願いします。」
~~~~~~~~~~~~~
「はぁ~。ゴミ掃除の依頼を頼まれちゃったね。」
『お前が部の名前を変な風な感じにしたせいでな。なにが戦略だよ。』
「ま、まぁ案外量が少ないかもしれないよぉ~。とりあえず放課後に植上海岸へ行ってみよう!」
『頼まれたからにはやるしかないからな。仕方がない....。あっ!今からしょうテストあったよな。やばい早く戻って勉強しないと。』
「えっ!うそ?漢字の小テストは今日ないんじゃなかったっけ。」
『漢字の代わりに英語になったんだよ!』
「どうしよおおお。助けてぇ。チヨちゃん。」
『すまんが、お前に構ってる暇はない!』
「そんなぁあぁぁぁあ~。」
~~~~~放課後~~~~~
「ここが植上海岸かぁ。あれ?案外ゴミないね。よかったぁ~。」
『おい。そっちは入り江海岸だ。植上海岸はこっちだ。....ってこの量処理できるレベル超えてるだろおおおお。』
目の前にはあたり一面ゴミに埋もれた、無残な植上海岸が広がっていた。
「大丈夫!チヨちゃん!安心してよ!こういうこともあろうかと、最強の掃除機を作ってきたからさぁ。」
ミウがバックから掃除機を取り出す。
『そんな掃除機で片付くわけないだろ。』
「まぁ見ててよ。スイッチ。オン!起動。吸い取れ丸。」
【ブーーーーーン】
山積みのゴミがみるみる量を減らしていく。
『す、すごい。この調子ならすぐ終わるんじゃないか?』
「吸い取れ丸に吸い取れないものはない!どうだ!見直したか!チヨちゃん。」
~~~~~~~~~~~~~
【ビュオオオオオオ】
『もうゴミがなくなってる!ミウ。すごいなお前。』
「あ、あれ?」
『どうしたミウ。もう止めていいんじゃないか?』
「なんか止まらないよぉ。」
【ビュオオオオオオ】
『止まらないって...。電源切ってもだめなのか?』
「なぜか止まらない。どうしよおお。」
『まあ止まらないぐらいだったら、危険じゃないしそんなに焦ることでもないんじゃないか?』
「じ、実はこの吸い取れ丸は10秒おきに、吸い取る威力が増加していくんだぁ。」
『吸い取る威力ってどのくらい上昇するんだ?』
「お、おそらくブラックホールぐらいにはなると思う。」
『うそだろ...。おい!』
「どうしよぉおおお。助けて。チヨちゃああああん。うわあああん。」
【ビュオオオオオオオオオオオ】
『とりあえず、方法を考えるんだ。ってうわあああ。』
いきなり吸い取る力が増加した!ヤバいなこれは。近づいたら吸い込まれる。
『ミウ!対処法とかは考えてないのか?』
「わかんないよおおお。」
『考えとけよ!クソッ!どうすれば....。』
そういえばミウが、吸い取れ丸に吸い取れないものはない!とか言ってたよな。
『おい!ミウ!本当に、吸い取れ丸に吸い取れないものはないのか?』
「う、うん。そうだよ。あの中にマイクロブラックホールが入ってあるから、何でも吸い取れるよ!」
よし!この方法にかけるしかないな。失敗すれば吸い殺されるかもしれないが....。
「なにしてるの?チヨちゃん!近づいたら吸い取られるよ!」
【ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオ】
強すぎだろ!もう既に台風並だな。
【ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ】
あと....もう少しで.....手が届きそうだ。届け!
『よし!届いた!あとはコイツに自分自身を吸わせるだけ!』
いっけええええええ!
【ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ】
「やったあああ。完全に消滅したぁ。まさか吸い取れ丸に、吸い取れ丸自身を吸わせるとはねぇ。やるじゃんチヨちゃん!」
ボコッ。
「無言で殴るの怖いからやめてよぉ。反省してるから。許してよぉ。」
『なんか世界が滅びかけることに、なれてきた自分がいる。』
「ほんと!?じゃあこれからもよろしくね!」
ボコッ。
「ひどいよぉぉ。今日は二発も殴った!頭がたんこぶだらけだよぉ。」
『反省してなさそうだから、もう一回殴ろうか?』
「ご、ごめんね。反省してるよ。この通り。」
ミウは自分の頭を地面にこすりつけながら、土下座する。
『もう帰るぞ。疲れた。』
世界が滅びかけることになれるだなんて、人のなれはおそろしいな。
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