17話 政治家とは腹黒い生き物
「うむ…大丈夫かと聞かれるのなら今の所は大丈夫じゃな。早々に対策を打たねば成るまいが。それより馬車の事じゃが……ただ教えるだけでもあれじゃ。試しに当てて見せよ、ヨシフル。何故じゃとお主は考える。共犯者であるお主の統率者としての力量をワシに見せてみよ。」
ニヤリと白い顎髭に覆われた口元と歪ませるカロルド国王。
共犯者となった俺の物の着眼点を見極めようと言う腹積もりなのだろう…。
本当に王も悪いお人だ。
「分かりました。俺の予想で良ければお話致しましょう。可能性として考えるならば、盗賊や山賊などの集団による治安の悪化、若しくは街道上の自治領……最悪他国による交通封鎖でしょうか?」
「ほう……そう考えた理由を話してみよ。」
俺はもう一口、クソ不味い粥を口に含み無理矢理水で流し込んで頭を整理すると、クソ見たいな現実に対する予測の続きを話す。
「良くあるパターンです。当然ですが国内情勢が悪化し、挙げ句分裂して治世が停止しているとも成れば国土の管理などままならないでしょう。そうなれば国内外の盗賊どもはのサボり放題です。彼らは好き放題に街道を走る馬車を襲い奪うはず。それも、略奪品の取引を求めて誰かが裏で糸を引いているのかも知れません。ここまでは大丈夫でしょうか?」
態度に変化無し。
問題無さそうだと確認してからヨシフルは話しを再開する。
上司との会話において、理解を求める為にこう言った間は非常に大事だとヨシフルは理解していた。
「では。こちらの方が危険性が高いと考えた交通封鎖の可能性についてお話をしましょう。理由は単純。街道上に関所を儲け、そこを通る全ての馬車や商業人から交通費を要求すれば簡単に儲かるからです。払えない者には通過する代金代わりに積み荷を押収すれば良いのです。俺だって現地の王であれば笑顔でそうしたでしょう。そのせいで多くの商業人や馬車の積み荷がここ北部までこれなく成っているのでは有りませんか?俺の予想はだいたいこんな感じです。良い線なんじゃ無いでしょうか?」
「う~む……聞いてて思ったのじゃが、ヨシフルは中々の悪党じゃな。」
「は?」
「ワシはそこまで想像しておらんかったし、まさかやろうとも思わなんだ。だから良い線かと問われれば、ワシの感想は…考えすぎじゃの一言に尽きる。」
我が物顔で熱弁してた内容が全くのハズレだったと聞き、事実に羞恥を覚える。
「か…掠りもしていなかったのですか?」
「いや、そこまでは言わんのじゃが……。」
ただ俺が予想以上に最悪の場合を想定していたのだとカロルド王は語っていた。
「では一体何が起こっているのですか?」
泥々の粥をスプーンで口に運び咀嚼する。
飲み込むと「はぁ」ため息一つついて疲れ顔で陛下は言った。
「"七つの美徳"を冠する者の1人。"希望"の守護者ウリエルが契約を反古にしておるんじゃよ。」
戦場のヤハウェイ~底辺冒険職からの下剋上ファンタジーライフ 誓 メイ @543210
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