2話 異世界はそこにあった
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日本国 午前1時06分33秒
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イセカイ……聞き間違い出なければ、それは異世界だろうか?
目の前の少女にも激しい違和感を覚えるが、それ以上に彼女の口にした内容に驚きを隠せない。
「こんな夜中に子供が大人の家に駆けつけるなど、一体何を考えているんだ。ふざけた事を言っていないで早く帰りなさい。」
「子供だと侮り耳を傾けない……。うん、典型的な大人の男性の返答ですね。そんなにも僕の言葉が信じられませんか?神様の命で参らせて頂いたのですが。」
形式的な言葉に反して随分と失礼な物言いをする少女だと思った。
それに神など、そんな前時代的な空想の代物を信じる気など更々ない。
存在も証明されず、なのに不思議と信者は多い不思議な集団。
不気味だ。
それならスパゲティモンスター神の方がまだ崇められる。
美味しいし。
「神なんぞ崇高な存在がいると?お目出度い話だ。悪いがそこを退いてくれるかね?おじさんにはこれから仕事があるんだ。」
「仕事ですか。そうですね、これから富士山の奥深い林の中で崖を探しに行くのですからね。」
なっ何故!?そんな事が分かる!?
俺が自殺しに行くのも何もかも知れた事と言うのか!?
驚きの表情を出すまいと、普段のふてぶてしい厚顔に戻そうとするが、どうやら意味は無かった。
「驚きの感情。ふふっ、僕には貴方の考えている事が手に取るようにわかります。心を見透かす陰属性の魔法の力。これでも信じられませんか?」
「ああ、信じられないとも。魔法だ?神だ?異世界だ?笑わせないでくれたまえ。子供の冗談に付き合う程、心も広くないのでね。」
すると少女は疲れた顔で溜め息を着くとこう言った。
「呆れました。ここまで頑なに抵抗されたのは僕も初めてです。仕方がないですね。父なる神によって与えられし叡智。魔法の力がなん足るかを少し体験させてあげましょう。」
「何を…する気だ?」
少女は見た目に似合わぬ妖艶な笑みを浮かべ、白く細い人差し指を俺に突きつける。
彼女の指先が仄かに煌めき、握り拳3つ程のサイズの魔方陣と思わしき物が俺と少女の間に展開される。
思わず冷や汗が額を伝って右目に染み込む。
「危害を与える気は無いので、そこに少しじっとしてくだされば結構ですよ。今から使うのは魔法の中でも珍しい陰属性の魔法。それで少し異世界を見せて差し上げましょう。では、≪陰魔法≫ムーンライトマジック、≪映像透写≫ヴァルキュリア。」
深く黒い霧が広がり視界から全ての光を奪い取った。
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