2月7日(金)

学校から帰ってくると、日記帳の表紙にたくさんの細長い傷がついていた。よーく見覚えのある傷だ。わたしの足にも同じような傷がある。そう、ベルにひっかかれたのだ。


わたしが「ベル!!」って叫んだら、それを聞いたベルは何でもないような顔をして、いつも通りに近寄ってきて、なでろなでろって目でこっちを見てきた。猫っていうのは実に自分勝手だ。


「おまえ、日記帳でつめとぎしたでしょ」

「ニャー」

「ニャーじゃないよ。都合のいいときだけ知らないふりしても無駄。あんたが本当は人間の言葉がわかるってこと、とっくにバレてるんだからね」

「ニャー」

「ニャーじゃないったら」


という感じで、ベルはまったく反省していない。それどころか、わたしが根負けして抱き上げたら、机の上の日記帳に手を伸ばそうとしたのだ! まだやろうというのか。わたしはベルを廊下に放り出して、部屋の鍵を閉めた。


なんてことだ。まだ日記をつけ始めて二日目なのに!


新しい日記帳がいきなりこんなことになるなんて思わなかった。たしかに地味な見た目だし好きな絵柄でもないけど、ここまでばりばりされると悲しい。


まあ、でも、表紙がけっこう分厚いから中までは傷ついていないし、日記をつけるぶんには問題なさそうだ。次からは引き出しの中に入れて、ベルの爪が届かないようにしておこう。

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