2月17日(月)

今日は欠席が多かった。南さんを筆頭に、五人ばやしが全員仲良くお休みしていた。どうしたんだろうか。


お休みの理由を話さないのが気になった。いつもなら朝の会で「◯◯は風邪でお休み。みんな体調管理に気をつけるように」とか「インフルエンザが流行ってるから、うがいと手洗いをちゃんとしなさい」とか、何か言うはずなのに。なんだか、話題がそっちに行かないようにしているように思えた。


どうして休んだんだろうってすごく気になって、授業中もそのことばっかり考えてしまうので、昼休みに先生のところに尋ねに行った。すると、いつになく怖い顔で「それを聞いてどうするんだ」とにらまれた。わたしはびっくりしてしまって、ちょっと視界がにじんで、口の中で小さな声でごめんなさいって言って、自分の上靴の先に書いてある名前を頭の中で何回も読んだ。どうしていいかわからなかった。怒られるようなことだとは思ってなかったのだ。


しばらくして、先生の手がわたしの頭をぽんぽんとたたいた。


「すまんな、酒井は学級委員だから心配してくれたんだよな」


疲れてて言い方が乱暴になった、悪かった、と先生は頭をかいた。本当に疲れているように見えた。


「五人のことなら大丈夫だ。今日のぶんのプリントを家に届けたりもしなくていい。教室に戻りなさい」


それっきり先生は何も言わなくなった。先生の顔を見れば、言葉通り大丈夫じゃないことはわかる。でも、これ以上尋ねても何も教えてくれない気がした。わたしは頭を下げて、職員室を出た。結局、よくわからないままだった。

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